大牟田再開発 芝浦G撤退の真相(1)納得いかない立替払
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大牟田市の新栄町駅前地区市街地再開発事業において、建設代行者に選ばれていた芝浦グループが事業からの撤退を表明。期限までに同意書が提出されなかったことで、同事業準備組合が基本協定を解除した。着工目前での芝浦撤退に再開発に期待を寄せる地元は「なぜ?」の声。事業が立ち遅れるため、その責任は芝浦グループに向けられている。一部報道では、「ホテルの採算が合わない」と撤退理由を挙げているが、「それはほんの一部」と芝浦グループ関係者。この2年間事業と向き合ってきた芝浦グループが撤退せざるを得ない理由はほかにあった。
係争に発展する可能性大
西鉄新栄町駅の広さ約2haに、ホテル、マンション、高齢者住宅、駐車場などを建設、駅前広場の整備でにぎわいを創出する計画で、総事業費は約118億円(2015年度時点)。地権者は30数名で、芝浦グループも地権者の1人である。2016年度、事業資金の確保と保留床取得者などを確実にするため、ホテルと立体駐車場などは芝浦グループ、分譲・賃貸マンションと高齢者住宅は西鉄グループが建設代行者に決定していた。
昨年9月、芝浦グループは準備組合に対し、このままでは事業計画への同意書が出せないと申し入れた。以降、事業継続に向けて協議は続けられていたが、同意に至らず。今年1月、準備組合は基本協定の解除を視野に入れた方針を決議した。1月末、芝浦グループに対し、同意書提出を求めたが、期限の2月15日までに提出されなかったため、2月16日をもって基本協定を解除。準備組合は損害賠償を求める予定がある旨を芝浦グループに通知している。
「報道は組合の一方的な言い分」と話す芝浦関係者に詳細を聞いた。
撤退理由その1 「事業が遅れているのに、立替払いだけが決まっている謎」
現在は準備組合だが、今後本組合となれば、権利床の権利確定に移る。本組合となれば、法人格となるので、銀行融資で資金調達が可能になるが、今はそれができないため、組合に資金がない。それまでの間、発生する支払いに対して、芝浦グループが2/3、西鉄グループが1/3の割合で、無金利で立て替えることになった。資金が必要な時期は、当初の計画で定められていた。すでに1回目の立替金は払い込み済みで、求められたのが2回目の立替だった。
さまざまな事情により、事業全体の遅れが半年以上発生していたが、建設代行者は立替払いだけ協定書通りに求められたという。金利なしで貸し出すことになり、長期で現金を寝かせるメリットはない。一企業なので、当然ほかの支払いもある。資金繰りも見ていかねばならず、発生していない費用に対する立替はおかしいと考えて当然だ。芝浦関係者は抗議したが・・・。組合は「協定書通り」を主張し、意見は食い違った。発生する費用に対し、立て替えるのは合意しており、文句はないはずだ。しかし、事業の遅れにより、費用の発生時期も遅れている。それでも貸出は計画通りに、と言われても、納得するわけにはいかない。「立替金の使途を明らかにしてほしい」という芝浦側の要請で、組合はいくつかの文書を提示したそうだが、事業にとって、その時点で必要のないものが多かったという。事業が遅れているのだから、費用の発生も遅れる。立替支払を遅らせてもいいはずで、組合はなぜ使い道のないはずの資金を欲しがったのか。関係者は今でもその理由がわからないままだ。
(つづく)
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