LIXILの瀬戸前CEOが、潮田現CEOの退陣を要求~MBOによるシンガポールへの本社移転を許さない!(前)
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住宅設備大手LIXILグループの首脳人事をめぐる混乱は、前社長兼最高経営責任者(CEO)で現取締役・瀬戸欣哉氏と潮田洋一郎会長兼CEOの全面対決に発展した。瀬戸氏は自身を含めた8人の取締役候補を株主提案し、自ら退任に追い込んだ創業家の潮田洋一郎氏に退任を迫る構えだ。
瀬戸氏がINAXの創業家の伊奈氏と共同で株主提案
瀬戸氏が4月5日、都内で記者会見を開き、旧INAXの創業家出身で取締役・伊奈啓一郎氏と共同で、株主提案すると明らかにした。自らや伊奈氏を含む社内取締役4人と社外取締役4人の計8人を選ぶ案を独自に提案する。自らの提案が承認されれば、CEOに復帰する意向を示した。
【瀬戸氏らが提案する取締役候補】
(社外取締役候補)
西浦裕二 元三井住友トラストクラブ会長、元アクサ生命保険会長
鬼丸かおる 前最高裁判事
鈴木輝夫 元あずさ監査法人副理事長、公認会計士
浜口大輔 前企業年金連合会運用執行理事
(社内取締役候補)
伊奈啓一郎 LIXILグループ取締役(旧・INAX創業家出身)
川本隆一 LIXILグループ取締役(旧・INAX出身)
吉田聡 LIXIL取締役専務執行役員(旧・トステム出身)
瀬戸欣哉 LIXILグループ取締役(前CEO)LIXILグループは2018年10月、「プロ経営者」として招いた瀬戸氏のCEO退任を決めた。同時に、取締役会議長で旧トステムの創業家出身の潮田洋一郎氏が会長兼CEOに、社外取締役・山梨広一氏が最高執行責任者(COO)に就いた。
この決定の過程が不透明だとして、世界最大の資産運用会社、米ブラックロックや、英投資会社マラソン・アセット・マネジメントなどの海外投資家が問題視してきた。ブラックロックは、LIXILの実質筆頭株主とされるからインパクトは大きかった。
英マラソン社ら英米の機関投資家と、LIXILグループ前身の1つINAXの創業家出身の伊奈啓一郎取締役の連合は、潮田氏と山梨氏の取締役解任を求める臨時株主総会を求めた。
会社側は臨時株主総会を5月中下旬の開催を予定している。瀬戸氏は臨時総会で、潮田氏の解任案が諮られれば、賛成する意向を示した。
指名委員会は潮田氏の処遇をどう判断するか
今後の焦点は、4月中に予定される同社の指名委員会だ。定時株主総会に諮る取締役候補に潮田氏を選ぶかが議論される。
LIXILグループは取締役などの人事案を指名委員会が決める「指名委員会等設置会社」だ。瀬戸氏のCEOの退任と、潮田氏の会長兼CEO、山梨氏のCOO就任の手続きを進めたのが指名委員会だが、当時は山梨氏が指名委員会委員長で、潮田氏もメンバーだ。両氏が決議に加わり、企業統治が不透明として機関投資家の反発を招いた。
潮田氏が指名委員会を外れてから、定時株主総会の人事案を提案するのは初めてだ。
現在の指名委員会の委員長はバーバラ・ジャッジ氏。5人の委員のうち、潮田氏が創業家のトステム出身者の菊地義信氏以外の4人は社外取締役だ。瀬戸前CEOは株主提案する8人の取締役人事案を会社の人事案とするよう指名委員会に働きかけている。
5月中に、潮田氏と山梨氏の取締役解任の是非を問う臨時株主総会が開かれる。可決されれば、取締役会で瀬戸氏はCEOに選任、否決されれば潮田氏が続投する。
潮田氏が続投すれば、瀬戸氏は6月の定時株主総会に8人の取締役選任の株主提案をする。会社側提案の人事案とのプロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展することになる。
指名委員会が中立的な人事案をまとめることができるか。最大の注目点だ。
【現在のLIXILグループの取締役】※は指名委員会委員
会長兼CEO 潮田洋一郎 旧トステム創業家出身
社長兼COO 山梨広一 マッキンゼー・アンド・カンパニー出身
取締役 瀬戸欣哉 前CEO、MonotaRo会長
取締役 金森良純 旧トステム出身
※取締役 菊地義信 旧トステム出身
取締役 伊奈啓一郎 旧INAX創業家出身
取締役 白井春雄 旧トステム出身
取締役 川本隆一 旧INAX出身
※社外取締役 川口勉 公認会計士
※社外取締役 幸田真音 作家
※社外取締役 バーバラ・ジャッジ 前英国経営者協会会長
※社外取締役 吉村博人 元警察庁長官(つづく)
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