【スクープ】金融機関に「夫の生命保険を奪われた」~預金が「溶けていく」謎を追う/鹿児島3金融機関との闘い(4)
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鹿児島県内の3つの金融機関で、預金記録が不正に操作されていた疑いが浮上している。被害を訴えた女性はすでに10年以上前から、3金融機関と法廷で闘っている。
■元銀行員が語る「ありえない」訂正履歴
データ・マックスではAさんの主張を検証するため、銀行業務に詳しい都市銀行OBに、Aさんと金融機関の一連のやりとりを示す資料を示して見解を求めた。
「資料を見て驚いたのが、金融機関では通常ありえない操作が散見されることです。まず、融資状況履歴で、〈訂正〉が複数回打ち出されています。通常、1度訂正しただけでもペナルティーの対象になるにもかかわらず何度も繰り返されており、なぜ内部監査の対象になっていないのかが疑問です。仮に金額を操作しているとすれば窓口の人間だけで実行することはできないでしょう。資料から判断すると、機械を操作できる上役の人間の関わりが想定されます。また、借入申込みを受け付ける際は目の前で署名捺印してもらい、印鑑証明、本人確認、署名された時間まで記載するのが原則です。したがって印鑑証明書が1通も出てこないというのは、銀行の常識ではありえません」
■「金融機関は間違わない」は本当か?
都市銀行OBの指摘を裏付けるようなできごともあった。Aさんは提訴前に金融庁や財務省に出向き、担当者に通帳を見せて見解を聞いている。その際、対応した担当者は驚いた様子で、「この通帳はなんですか?」と絶句したというのだ。Aさんの通帳に記録された一連の取引履歴がいかに異常なものかがわかるエピソードだが、この時は「全信連(全国信用金庫連合会/現在は信金中央金庫)や全信組連(全国信用協同組合連合会)に相談して欲しい」と言われただけだった。しかし、信用金庫や信用組合の中央機関である全信連や全信組連に相談しても「指導する」という言葉をもらったのみで、実効性を伴う指導や調査が入った形跡はない。
金融関係者が一様に「異常な取引履歴」と認めているにも関わらず、「金融機関がそんなことをするはずがない」という先入観に阻まれて、Aさんはなんの救済もないままひとりで闘い続けてきた。
夫が亡くなってから、すでに20年以上が経過している。Aさんは絶望感に押しつぶされそうになりながら、執念にも似た思いで再審請求に希望を託す。
「主人の命と引き換えのお金だから、(主人に)申し訳ない……。信用して預けたのに、こんなことになるなんて。絶対に諦めるわけにはいかない」。
(了)
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