刑事司法の不正を放置してはならない
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は日本の刑事司法制度を近代化しない限り、日本は近代国家にも現代国家にもなれないと訴えた5月15日付の記事を紹介する。
4月19日、池袋でトヨタ製乗用車プリウスが暴走し、自転車で横断歩道を渡っていた松永真菜さんと、娘の莉子ちゃんを殺害する事件が発生した。加害者は87歳の無職飯塚幸三氏である。この事件の加害者はいまなお逮捕されていない。
歩行者をはねて殺害する事故が多発しているが、基本的に加害者の運転者が逮捕されている。下級国民は逮捕され、上級国民は逮捕されないとの批判が広がったが、説得力のある説明が示されないまま現在に至っている。
刑事司法の取り扱いは国家の根幹に関わる重要事項である。1789年に制定されたフランス人権宣言。最重要の規定は自由権を奪う刑事司法の行使に対する明確な規制だった。
罪刑法定主義
適法手続き
無罪推定原則
などの規定が明記された。
国家権力が身体の自由を奪うのが刑事司法である。その行使に対して厳重なチェックが加えられなければならない。
ところが、日本では、この刑事司法制度が前近代に取り残されたままなのだ。これを象徴する事件が池袋暴走殺人事件に対する刑事司法当局の対応である。
事件を起こした車は左側面をガードパイプに接触した後、速度を上げて約70m先の交差点に進入して自転車で横断中の70代男性をはねた。さらにその先の交差点で松永さん親子をはねた。車は時速100kmを超すスピードで横断歩道に侵入したが、信号機はいずれも赤信号であったと見られている。
トヨタ製自動車プリウスの構造上の問題が原因との可能性が指摘されたが、その後の捜査によって、自動車に異常は確認されていない。
通常、警察当局は、この種の事件の加害者を逮捕して取り調べを行う。ところが、今回の事件では加害者が逮捕されておらず、メディアは加害者に敬称をつけて報道した。同様の奇怪な対応が示された重大事件があった。
2018年2月に東京都港区白金で発生した自動車による歩行者殺害事件である。トヨタの高級車「レクサス」を運転していた加害者が道路の路肩でいったん停車し、知人を乗せようとした際に車が急発進して暴走。歩道を歩いていた37歳の男性がはねられて死亡した。車は道路脇の金物店に突っ込んで建物の柱やシャッターなどをめちゃくちゃに壊した。これも自動車による殺害事件である。実はこの重大事件でも加害者が逮捕されなかった。
池袋の歩行者殺害事件加害者の飯塚幸三氏の経歴は以下のもの。
東京大学卒
経済産業省工業技術院長
(株)クボタ副社長
2015年瑞宝重光章受章
元キャリア官僚で、トヨタを所管する経済産業省出身者である。2018年の白金事件の加害者は石川達紘氏(79歳、事件当時78歳)。石川氏の経歴は以下のものだ。
中央大学法学部卒
東京地検特捜部長
名古屋高検検事長
2009年瑞宝重光章受章こちらも官僚出身で検察高官を務めた人物である。
※続きは5月15日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「腐敗する刑事司法への追及が必要不可欠」で。
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