2024年12月24日( 火 )

九州地銀(18行)の19年3月期決算を検証する(6)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行の2020年3月期の業績予想表である。

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 計数については、FG・FH傘下銀行8行は単体、福岡中央銀行、豊和銀行、佐賀共栄銀行の3行は非連結で、計11行の計数は単信。宮崎銀行・大分銀行・十八銀行など7行は連結の計数となっている。

~この表から見えるもの~

(1)経常収益について

・銀行は経常収益・経常利益・当期純利益の3勘定を来期予想していた。しかし2011年5月の決算単信からふくおかFGが、業務の多様化にともない、予想が難しい経常収益を外し、経常利益と当期純利益の2勘定に変更。それを受けて豊和銀行が2012年5月、南日本銀行が2014年5月、北九州銀行を傘下にもつ山口FGが2018年5月から2勘定に変更。経常収益の予想がない銀行は、今年4月1日付でふくおかFGと経営統合した十八銀行を含め7行となっている。

・九州地銀18行の19年3月期の経常収益合計は8,125億円(▲0.0%)の微減だったが、20年3月期は前期比マイナス予想の銀行が多く、一段と厳しい経営状況になっているようだ。

(2)経常利益について

 九州地銀(18行)の19年3月期の経常利益は1,869億円(前期比▲9.9%)。20年3月期の経常利益合計は前期比▲269億円の1,600億円(前期比▲14.4%)と、10%を大きく超えるマイナス予想となっている。

・経常利益をプラス予想しているのは2行。北九州銀行は前期比+14億円の47億円(+42.9増)。

 もう1行は佐賀銀行で前期比+2.8億円の37億円(8.2%増)となっている。

・残り16行は前期比マイナスの予想となっている。そのなかで十八銀行の経常利益は▲62億円(前期比▲137億円の赤字予想となっている。その要因はふくおかFGと経営統合したことによる「負ののれん」の発生損による。次に大きく減少予想しているのは豊和銀行で、前期比▲6億円の5億円(増減率は▲55.4%)。続いて親和銀行で前期比▲32億円の28億円(増減率は▲53.6%)と、50%を超える減少の銀行は2行。40%を超える減少は長崎銀行(▲45.8%)と宮崎太陽銀行(▲41.3%)の2行。30%台の減少はなく、30%台以下の銀行は佐賀共栄銀行を含む11行となっている。

(3)当期純利益について

 九州地銀(18行)の20年3月期の当期純利益合計は、前期比▲223億円の1,099億円(▲16.9%)の予想となっている。

・当期純利益をプラス予想しているのは北九州銀行だけで、残り17行はマイナスとなっている。

・九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行の当期純利益が、仲良く120億円の予想をしているのが目に付く。はたして、20年3月期にどのように決着するかが注目される。

・FG・FHの当期純利益では、ふくおかFGが前期比+516億円の1,585億円(前期比206.9増)の予想となっている。その要因は4月1日付で経営統合した十八銀行の「負ののれん発生益1,180億円(程度)」の特別利益計上による。ただ、その特別利益を単純に控除すれば、当期純利益は405億円で、前期より大きく減額する予想となっている。

・九州FGの当期純利益は前期比+5億円の228億円(前期比2.7%増)を予想している。一方、西日本FHは前期比▲18億円の210億円(▲8.3%)となっており、2位の座を九州FGに譲ることになるが、実際に逆転するかどうか。20年3月期の決算が見ものとなる。

<まとめ>

 九州地銀(18行)の2020年3月期の決算は、ほとんどの銀行が19年3月期より悪化予想しているがわかる。地域経済の縮小や保有する有価証券の下落などが続くようであれば、今後、決算予想の修正をせざるを得ない銀行が出てくるのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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