日建設計・JSCAの最凶タッグが耐震偽装を事実上認めた!(後)
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――現在の建築確認制度ではダブルチェックによる審査が行われていると聞きますが、豊洲市場の場合、チェック機能は働かなかったのでしょうか?
仲盛 豊洲市場のような公共建築物の場合、民間の建築物における建築確認の代わりに計画通知という制度があり、特定行政庁(豊洲市場の事例では東京都)が計画を審査します。ダブルチェックとして豊洲市場の構造計算適合性判定(適判)を行ったのは「公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター」です。豊洲市場の建築計画の審査においては、残念ながら、東京都の審査も適判機関であるまちづくりセンターによるダブルチェックも設計の偽装を指摘することなく審査を通過させたのです。
東京都防災・建築まちづくりセンターの理事・監事や評議員には行政庁の職員や関係者が何人もいます。東京都の関係者が役員や評議員を務める団体が、東京都が建設する建物に対して適切な判定ができるのでしょうか?この構図を見れば多くの方が「何らかの忖度が働いたのではないか」と感じているはずです。
このような中身のない建築確認制度、なかんずく公共工事における計画通知は適切に機能していないことは建築関係者の誰もが認めるところです。平成19年の建築関係法規の改正後、不正な設計を防止するため建築確認の運用が厳格になりました。
しかし、豊洲市場の設計偽装のようなことが現在も行われており、建築確認が厳格に運用されないのであれば、建築確認制度をやめて届出制度にした方が良いのではないかとさえ思います。
――東京都や日建設計は「検査済証が交付されているから設計上の問題はない」とコメントしていますが、検査済証が交付されていれば「問題なし」といえるのではないでしょうか?
仲盛 検査済証というのは、設計図書(図面など)と現場の施工が一致していることを確認し交付されるものですから、完了検査において設計の内容を審査するものではありません。設計の内容を審査するのは建築確認(公共工事では計画通知)であり、計画通知の審査において設計の偽装を見逃しているのですから、偽装された設計図書を基に完了検査が行われたのです。
設計の偽装を見逃したまま建築確認が下りた設計図書と施工状況を照合する検査であれば、図面と施工が一致していることは当然ですが、設計の偽装をチェックしている訳ではないことは前述した通りです。ちなみに、姉歯氏の設計偽装が判明している建物に対しても検査済証は交付されています。
「検査済証が交付されている」という言葉は「検査で問題なかったから適法」との誤解を受けさせることを狙ったものです。こんな姑息な手段を使うところに、東京都や日建設計の苦しい立場が見て取れます。
――豊洲市場の所有者である東京都は、設計の偽装を行った日建設計を訴えるべきだと思いますが、そのような動きはまったくありませんでした。
仲盛 東京都と日建設計の関係の深さ=癒着ゆえに、刑事告訴や損害賠償などできないのです。まさに「官民連携の偽装隠し」なのです。設計の偽装を東京都が認めれば、計画通知の審査において偽装を見逃した責任を問われるし、すでに開業している豊洲市場を建て替えることは大きな混乱を招きます。小池都知事は「築地は食のテーマパークとして生かす」と表明していましたが、銀座に近いという立地からタワーマンション・巨大ビジネスセンターなど再開発が噂されています。
私も何度か築地市場に足を運びましたが、東京の中心部に広大な空き地が出現するので、築地の再開発を狙っている開発業者やゼネコンは多いのではないかと感じました。つまり、築地に市場を戻せない東京都は違法な設計により建設された豊洲市場を使う以外に採るべき道がないのです。今後、築地市場跡にさまざまな建物が建設されると思いますが、日建設計には設計に関与していただきたくないと思います。
築地再開発に限らず、豊洲市場で行ったような不正な設計を根絶する体制が構築されない限り、日建設計は設計業務を自粛すべきです。日建設計の構造設計責任者である常木氏も、JSCA会長就任は見送るべきです。
福岡在住のJSCA会員の構造技術者に日建設計の常木氏がJSCA次期会長に内定したことについて意見を聞いたところ、「豊洲市場での不適切な設計の責任を取るどころかJSCAの会長に就任するとは言語道断!」と憤っていました。多くのJSCA会員が同じような憤りを感じているのではないでしょうか。
建築設計業界に多大な影響を与える最大手の設計事務所と構造技術者の団体が、自分たちに都合の悪いことを揉み消す為の人事を平然と行う事態を見るにつけ、設計における遵法精神など欠片もなく、もはや設計に携わる資格はありません。今すぐ建築業界から立ち去っていただきたい!
私が日建設計のことを強く非難しているのは、明らかに違法な設計をしておきながら、日建設計を擁護した市場問題PTを楯に「質問へ回答する必要なし」という態度が今後の日本の建築に悪い影響を与えるからです。日建設計の設計が適切であり私の指摘に建築基準法令上の根拠がないというのであれば、日建設計は堂々と反論すれば良いのであり、名誉棄損で訴えれば良いのです。日建設計が回答を避けているのは、不適切な設計であることを自覚しているからに他ならないのです。
(了)
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