【特報】東京地検特捜部に翻弄された「48時間」(1)~ガサ入れ?現場に現れた疑惑の鍵を握る人物
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■自宅に現れた東京地検特捜部
既報の通り、東京地検特捜部は27日、福岡県大野城市の建設業者J社を家宅捜索した。午前11時時点の最新情報によると、J社の代表I氏と建築事業部長を務めるT氏は「協力者」として事情を聞かれているという(T氏はすでに解放)。I氏は基山町(佐賀県三養基郡)の自宅にいたところを東京地検特捜部の捜査員に同行を求められ、現在も福岡地検で事情聴取が続いている。
東京地検特捜部は企業主導型保育事業に関連する助成金詐欺疑惑がかかっているWINカンパニー代表・川﨑大資氏(51)について調べを進めており、公益財団法人児童育成協会から支給された助成金の流れを詳細につかんだうえで、川﨑氏と保育事業に関するコンサルタント契約を結んでいたJ社に事情を聞いているとみられる。
■突然現れた、疑惑の鍵を握る男
「日本最強の捜査機関」の異名を持つ東京地検特捜部がなぜ、東京から遠く離れた大野城市の、企業規模的にはごく普通の中小企業に対して約10人の捜査員(J社関係者の証言)を送り込んだのか。
その背景を探るには時計の針を少し戻す必要がある。
東京地検特捜部がJ社に家宅捜索に入った27日前日(26日)の午前中、特別取材班は一本の電話を待ち続けていた。5月15日から報じてきた、川﨑大資こと塩田大介の助成金詐欺疑惑(参照記事)に関連して、川﨑氏の金庫番とされる青木誠敏氏(全国子ども保育促進機構株式会社の代表取締役社長/本社:東京都渋谷区)が25日になって突然取材に応じる意向を示し、「26日の午後に会いたい。時間と場所は追って指定する」と告げてきたのだ。しかし、約束の時間になっても電話がかかってこず、何度か青木氏に電話をかけたものの電源が入っていない状態が続いていた。
午後になっても青木氏と連絡をとることはできず、半ばあきらめかけた午後5時ごろに突然、「川﨑氏とその妻が東京地検に逮捕された。川﨑氏が代表を務めるWINカンパニーの東京事務所と福岡事務所も家宅捜索(いわゆるガサ入れ)が入った。青木氏も逮捕された可能性がある」という情報が飛び込んできた(両氏の「逮捕」は後に誤りと判明)。特別取材班は慌てて情報確認を始めると同時に、WINカンパニーの福岡事務所(福岡市博多区)に向かった。
WINカンパニーの福岡事務所は、福岡空港を離発着する旅客機を間近に見ることができる、「空港口」と呼ばれる十字路の角にある建物に入っている。結婚式場といっても通用しそうな優美な外観が特徴的な建物だ。表のドアの鍵と建物裏にあるシャッターは閉じられていたものの、少し離れた場所から明かりの灯った3階部分を確認することができ、複数の男性が慌ただしく動いているのが見えた。遠目ではあったものの段ボール箱のようなものを抱えて運んでいるようにも見えたため、「やはりガサ入れなのか」と若干心拍数が上がり、張り込みを開始した。
1時間ほど経った頃、見覚えのある男性が博多駅方面から歩いてくるのが目に入り、建物の階段を昇り始めたのを見て確信して声をかけた。
「一山さん、久しぶりです」
その男性は、川﨑氏に指示されて公益財団法人児童育成協会の印章偽造に手を染めた、岡田賢介こと一山賢介氏その人だったのだ(参照記事)。過去に一度だけ取材が実現しかけたものの直前で姿を消し、電話にもまったく出ることがなかった一山氏は、WINカンパニーで企業主導型保育事業の助成金申請を担当しており、助成金詐欺疑惑解明のカギを握るとされていた人物だった。
【特別取材班】
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