成果なきG20安倍外交と消費税増税強硬の矛盾
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は日本政府が財政破綻の危機に直面しているというのは真っ赤な嘘であるとした6月29日付の記事を紹介する。
大阪でのG20首脳会議が閉幕した。首脳宣言に「保護主義と闘う」の文言を盛り込むことはできなかった。地球温暖化対策については、EUの要求に基づく、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿って行動することを確認することと、協定離脱を表明した米国の主張が両論併記とされた。
日本外交は目立った成果をまったく上げられず、首脳会議が閉幕した。最大の成果は米中両国が、通商協議再開と米国による追加制裁関税発動見送りを確認したことである。米国のトランプ大統領は5月5日以降、強硬な交渉姿勢を示してきたが、本ブログ、メルマガで予測してきた通り、米国が交渉姿勢を柔軟化させる方向に変化が生じた。
中国は譲歩すべき点は徹底譲歩する一方、譲歩できない点については毅然とした姿勢で米国の要求を撥ねつける対応を示してきたが、この中国の交渉姿勢が効を奏していることがわかる。日本の安倍首相は中国の外交交渉姿勢から多くを学ぶべきである。米国の命令・要求に一から十まで服従するのでは、日本の主権者の利益を守ることはできないからだ。
大阪G20が終了して、いよいよ2019政治決戦が本番を迎えることになる。G20首脳宣言は、世界経済の成長が弱く、貿易や地政学上の緊張が高まっているとの懸念を示し、「リスクに対応するため、さらなる政策(行動)を取る用意がある」としたが、この宣言内容と日本政府の消費税増税方針とは完全に矛盾する。
消費税増税に正当性は存在しない。消費税増税は日本経済を確実に不況に転落させる主因になる。GDPに最大の影響を与える需要項目が家計消費であり、消費税増税は家計消費を一気に押し潰すものであるからだ。家計は労働によって得た所得から所得税を納めている。
労働によって得た所得から税金や社会保険料を差し引いたものを「可処分所得」と呼ぶ。家計消費は「可処分所得」を用いて行われる行為だ。消費税は家計が可処分所得を用いて消費をする際に、消費金額の一定比率を税金として徴収するものだ消費すると懲罰が課せられる。その比率が半端でない。消費金額の10%が税金として巻き上げられる。完全な二重課税でもある。消費税の名称を「消費懲罰税」とすべきだ。
税金を納めた後の可処分所得で買い物をすると、さらに消費金額の10%を税金で巻き上げられる。しかも、食品等の生活必需品も非課税でない。こんな施策を強行すれば日本経済が深刻な大不況に陥ることは明白なのだ。
消費税で吸い上げられた資金によって社会保障が拡充されることはない。消費税の税収を社会保障に充当するような説明がなされているが、実態はまったく違う。
新たに増税した税収を社会保障に充てても、従来、社会保障に充当されていた別の財源を社会保障支出以外の支出に充当しまうことができるので、このような説明はまったく意味をもたない。
そもそも、社会保障支出の国庫負担金額は消費税収よりもはるかに多いので、消費税収が社会保障支出の国庫負担金額を超えるまでは、消費税の税収を社会保障に充当するという説明は可能なのだ。
言葉のマジック、まやかしに騙されてはならない。
消費税が導入されてから27年間の税収推移を説明してきたが、消費税の税収は社会保障にも財政再建にも充当されてこなかった。ひたすら、法人税減税と所得税減税に充当されてきただけなのだ。
日本政府が財政破綻の危機に直面しているというのも真っ赤な嘘である。財務省は国のバランスシートを公表して、2018年3月末時点で国が568.4兆円の債務超過であるとしている。
しかし、この計数のなかの公共用財産150.3兆円が極めて少額の計上になっている。国民経済計算上の一般政府の生産資産は591.9兆円であり、両者の乖離が極めて大きい。政府の財政バランスは国・地方を合わせて考察することが必要で、地方政府を含めた一般政府ベースで、政府は39兆円の資産超過なのである。
※続きは6月29日のメルマガ版「消費税増税の真っ赤なウソを証明する選挙」「消費税増税の真っ赤なウソを証明する選挙」で。
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