FIT見直しでどうなる再エネ 業界の声を拾う(2)
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東日本大震災を契機に、再エネ事業に注目が集まり、国内では太陽光発電に多額の投資が集中した。太陽光発電の普及にともない、売電価格が下がり、FITの本来の目的である、再エネ普及には一定の効果があったといえる。ここにきて、政府が示したFIT見直しで今後の再エネ業界はどうなっていくのか。業界を取材した。
周辺業者はどうするか
太陽光発電事業者ばかりに目が行きがちだが、発電所をつくり上げる周辺事業者も今後の動向を気にしている。周辺事業者とは、太陽光発電所の建設に関わる造成工事、電気工事などの建設業者、不動産・権利関係のブローカーのほか、裾野は広い。
福岡市内で主に太陽光の電気工事を手がけるA社は「以前から予想されていたことで、見直し自体に驚きはない。今後はメンテナンスを取っていく方向になる。太陽光以外の発電事業に参入するのは基本的に難しい」という。また同業のB社は「新規のメガソーラーは先が見えているので、一般家庭用の太陽光発電にシフトしていく。並行して蓄電池の販売も仕掛けていくが、普及のためには補助金が鍵になる。これまでも補助金は交付されているが、額が限られていてすぐに締め切られているのが現実」と語る。
FIT見直し以外にも逆風
福岡市内のある太陽光発電事業者はFIT見直しを「台風ばりの強烈な向かい風」と表現するが、実はそれ以外にも向かい風の要因があるという。
「岡山県のある自治体では、『事業用発電パネル税』という名目で、1m2あたり50円を徴収するというフザけた条例案を議会に提出しようとしているようです。再エネ推進にかなり水を差されるような条例案なので、これがもし通ると、全国の市町村が同様の条例を制定する可能性があるため、いま意見書を総務省に提出する動きをしようと言われています」(同発電事業者)
FIT見直しに加え、新たな税金徴収となればさらに太陽光業界は追い込まれることになる。
太陽光ビジネスの栄枯盛衰
太陽光バブルで急拡大し、弾けていった企業も多数ある。とくに産業用太陽光発電、メガソーラーでは1案件で数億円の売上をもたらす。新規参入からわずか数年で業績を急拡大させた企業は全国にある。借金で発電設備を導入し、売電しながら返済していく。融資がつけば、次々に発電所を建設する様子はマンションデベロッパーと同じ。しかし許認可、用地買収、負担金トラブルなどクリアせねばならないハードルは多く、1つでもつまずけば、ダメージも大きい。もともと資本力のない企業にとっては、リスクの高い事業である。
発電事業者でなくとも、発電所建設により潤った業者は多い。低迷していた業績をV字回復させた企業もあれば、個人ブローカーが1件で数億円を稼ぐことも少なくない。個人ブローカーはそれを元手に、自前で安定収入をもたらす発電所を建設する。派手さはないが、最も太陽光バブルの恩恵を受けたといえるのではないか。
(つづく)
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