中国巨大バッテリーメーカーの誕生と日韓のバッテリーメーカーの応戦(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
CATLはドイツ企業のBMWとの協業がきっかけとなり、力をつけ始めた。その後、同じくドイツのフォルクスワーゲン(VW)やダイムラー、仏プジョー・シトロエングループとの取引にも成功。中国市場に進出している外資系自動車会社と協業することで、成長の足場を築いた。
外資系自動車メーカーがCATLの電池を採用せざるを得なかったのには背景がある。現在、世界最大の市場となっている中国で電気自動車を販売するためには、中国政府が推奨する電池メーカーの製品を使わないといけない。その推奨メーカーには、日本のメーカーも、韓国のメーカーも、入っていないので、中国で一番価格競争力があり、高品質なCATLの製品が選ばれたわけだ。
その結果、外資系自動車メーカーのほとんどにCATLの電池が採用され、CATLはパナソニックを抜いて世界最大の電池メーカーになったわけである。ロイター報道によれば、2020年のCATLの生産能力は、合計で50GWhに達するといわれているが、生産規模を拡大し、100GWhにするという噂もある。
2016年まで世界シェア首位をキープしていたパナソニックだが、2017年にはCATLに首位の座を譲っている。市場シェアだけでなく、価格競争力、生産能力、利益率においても、CATLに負けているので、パナソニックの前途は多難だろう。
CATLは純利益率20%超と高い収益性を誇っている反面、パナソニックの純利益率は見劣りする。CATLの主力工場の電池の生産能力は、25Gwh(EV100万台分相当)あるのに対し、パナソニックは1工場で4Gwh程度の生産能力しかない。生産能力の面でも、CATLはパナソニックを圧倒しているので、CATLに価格競争力があるのは当たり前である。さらに、事業パートナーであるテスラの生産計画が軌道に乗っていないことも、パナソニックにとっての不安材料である。
一方、韓国勢はどのような状況だろうか。韓国企業の代表格であるLG化学は、2017年にポーランドに工場を新設し、昨年から量産を開始している。しかし、同社のヨーロッパでの生産目標は、15GWhにすぎず、CATLと勝負するには開きが大きすぎる。
しかし、韓国の電池メーカーが健闘していることも事実である。LG化学、サムスンSDI、SKイノベーションなど、韓国バッテリー3社の昨年の受注額合計は、110兆ウォン(約10兆円)を上回っている。この金額は石油化学、自動車の輸出額を上回っており、半導体の年間輸出額である141兆ウォンの背中を追っている。
韓国では電池産業が第2の半導体のように成長することが期待されている。このように、今後大きな産業に成長する電気自動車分野、競争力の源泉であるバッテリーで優位になるため、中国、日本、韓国を中心に激しい競争が繰り広げられている。
韓国経済研究院によると、中国、日本、韓国のバッテリー産業の競争力を比較した結果、中国8.36、日本8.06、韓国7.45となっており、予想以上に、中国の技術競争力が進んでいるようだ。
今後、バッテリーをめぐって日中韓の競争はどのようになるのか世界の注目が集まっている。
(了)
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