日本の対韓輸出制限は韓国の半導体産業に大打撃(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
日本政府が今月の4日から半導体製造などに使われる化学製品3品目の韓国向け輸出手続きを厳格化したことで、韓国の半導体産業に黄色信号が灯った。
昨年の半導体の輸出は、韓国の輸出全体の20.9%を占めており、金額ベースでは1、267億ドルとなっていて、半導体産業は韓国の輸出の稼ぎ頭である。今回の日本の対韓輸出制限で、韓国の半導体産業がダメージを受けるのは必至で、韓国経済全般への影響も避けられないだろう。
日本の経済産業省は1日、韓国に対する経済報復措置ともとれる内容を発表した。今月の4日から化学製品3品目の韓国輸出を、包括許可申請から、輸出契約ごとに、政府が審査・許可する個別許可申請に切り替え、事実上輸出を制限することになった。すなわち、これまでは韓国に輸出する企業に、個別の輸出許可申請を免除する優遇措置を取っていたが、4日から韓国はその対象外になる。また先端技術などを輸出する際に手続きを簡素化してくれる優遇制度である「ホワイト国」からも韓国を除外することを経済産業省は検討しているようだ。
韓国は日本の友好国として認められ、2004年からホワイト国となっていた。現在日本のホワイト国には米国、イギリスなど27カ国がある。日本がこのように韓国に直接被害を与えるような報復措置に出たのは、今回が初めてのことである。韓国は半導体強国と言われているが、半導体装置の国産化率は20%前後で、素材の国産化率は10%程度に過ぎない。
それでは、なぜ今回のように日韓関係が対立するようになったのか。韓国の最高裁判所は2018年11月、三菱重工業に対して元徴用工に1人あたり1億ウォン(約1千万円)の賠償金を支払うように命じた。その前月にも日本製鉄(旧・新日鉄住金)に対して同様の判決が下されている。しかし、日本はこの判決に猛烈な反発を示している。その結果、日韓両政府は、日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟をめぐり、対立を続けていた。
その後、原告側は日本企業の韓国内の資産売却の手続きを進めているが、日本政府は韓国政府の傍観に業を煮やしている。日本政府の苛立ちに対し、韓国側は関係改善に具体的な誠意を示しておらず、関係は悪化の一途をたどっていた。日本は今回の措置で韓国の元徴用工問題への対応を促すため、事実上の対抗措置に踏み切ったわけだ。
それでは、手続きが厳格化する化学製品3品目についてもっと詳しく見てみよう。、スマートフォンの画面などに使うフッ化ポリイミド、ウェーハに塗るレジスト(感光剤)、半導体洗浄に用いるフッ化水素の3品目である。まず、レジスト(感光剤)だが、レジストは光を吸収する感光剤である。半導体製造工程のなかには、ウェーハに光を照射し、ウェーハ上に回路のバターンをつくっていく露光工程という工程があるが、この際に光を吸収できるようにウェーハの上に塗る液体がレジストである。露光工程は一番大切な工程で、回路を正確につくれるかどうかのポイントになる。
(つづく)
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