2024年12月22日( 日 )

なぜグランドメゾンは福岡で圧倒的ブランドなのか(前)

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積水ハウス(株)

 埋め立てでは百道浜やアイランドシティ、再開発では旧大名小跡地と、福岡市の重要なプロジェクトには必ずといっていいほど積水ハウス(株)がまちづくりに関わってきた。「集合住宅ではなく住宅集合」であるという同社のマンションブランド「グランドメゾン」は、とくに福岡で圧倒的なブランド力を誇る。長きにわたって、グランドメゾンというブランドが福岡で受け入れられてきた要因とその背景を探った。

旧大名小跡地の再開発、積水とリッツがタッグ

(左)積水ハウス(株)代表取締役社長 仲井 嘉浩氏、
(右)マリオット・インターナショナルアジア太平洋
社長兼マネージングディレクター クレイグ・スミス氏

 7月8日、積水ハウス(株)を筆頭とする大名プロジェクト特定目的会社(以下、大名TMK)は、天神ビッグバンの目玉となる旧大名小跡地の再開発(以下、大名PJ)に着手した。大名TMKは積水ハウスのほか、西日本鉄道(株)、西部ガス(株)、(株)西日本新聞、福岡商事(株)で構成され、大名PJの準備工事に同日着工。大名PJは、1ha超の敷地に地上25階、地下1階、最も高いところは111mに達する福岡随一の高層ビルとなる。

 核テナントはマリオット・インターナショナルが運営する「ザ・リッツ・カールトン福岡」(162室)で、開業予定は2022年だ。ザ・リッツ・カールトンはこれで国内7つ目。客室はすべて50m2超、6つのレストランやバーのほか、室内プール、スパ、チャペルも設けられる。

 ホテルのほかには、ワンフロア2,500m2、総面積3万m2という九州最大級のオフィス、賃貸マンション、都心の広場、イベントホール、創業支援施設など広大な敷地を生かした数多くの機能が備えられる。とくにオフィスはBCP(事業継続計画)対応、高いセキュリティとグローバル企業が求める水準を満たしたものとなる計画であるほか、賃貸マンションも同様に国際水準のレジデンスとなるようだ。

 本体工事の着工は今年12月、竣工および全体の供用開始は22年12月が予定されている。準備工事の着工にさしあたって、マリオット・インターナショナルアジア太平洋の社長兼マネージングディレクターであるクレイグ・スミス氏は「開業に向けて進めることができ、喜ばしい限りであるとともに、積水ハウスとまたこうしてパートナーを組むことができ、大変光栄に思います」と述べた。

 積水ハウスの仲井嘉浩社長は、「誘致できたことを非常に嬉しく思います。マリオット・インターナショナルとの長年のコラボレーションを通じて、ザ・リッツ・カールトン福岡は上質なおもてなしのレベルを向上させ(中略)来訪者にとって有意義な旅のアクセントになると確信しています」とコメントした。積水ハウスのプロジェクトにリッツ・カールトンが誘致されるのは、ザ・リッツ・カールトン京都(14年開業)以来となる。

 前述の通り、大名PJは福岡市の一大事業である「天神ビッグバン」の目玉であり、敷地は福岡市からの賃借だ。17年10月から公募が行われ、積水ハウスグループや福岡地所グループ、JR九州グループが提案書を提出。18年3月に、優先交渉権者を積水ハウスグループに決定していた。福岡市が発表した積水ハウスグループの評価講評では、基本方針や地域貢献、施設計画、維持管理運営計画など多くの面で福岡地所グループ、JR九州グループの提案を上回り、総合評価では785.93ポイント(満点は1,000点)と次点の福岡地所グループを10.57ポイントリードした。ザ・リッツ・カールトンの誘致が高く評価された格好となった。

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(つづく)
【永上 隼人】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:仲井 嘉浩
所在地:大阪市北区大淀中1-1-88
設 立:1960年8月
資本金:2,025憶9,120万円
売上高:(19/1連結)2兆1,603億1,600万円

(中)

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