2024年11月21日( 木 )

理解していないと怖い『年俸制』

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 最近、求人票などでも目にすることが多くなってきた「年俸制」。“年俸”という割に月の給与も賞与も掲載されており、月給制との差がよくわからない。という方も多いのではないでしょうか。しかし月給制と年俸制では明らかに違います。また、「年俸制=成果主義」という間違った解釈も広まっているようです。

月給制と年俸制の違い

 月給制とは、毎月基本給に加え一定の手当が支払われる、日本ではおなじみの給与形態です。これに加えて、会社の業績や本人の成績が加味されて、賞与が支給されます。
 一方年俸制では、給与を1年単位で決定します。
 ただし、年に1回、1年分の給与がまとめて支払われるわけではありません。労働基準法で定められている「毎月1回以上の支払いの原則」に従い、年俸を月数(12回)に割って月々に支給するケース、もしくは賞与分を加味した月数(14回や16回)で割り月々14分の1支給に加え、賞与として年2回14分の1支給するケースなどがあります。
 年俸制といえども、原則として残業が発生した場合は別に残業代が支払われます。ただし、たとえば「年俸〇円にひと月40時間の時間外手当を含む」というように、初めから時間外手当込みとなっている場合もありますので、事前にきちんと確認が必要です。

年俸制のメリット

 年俸制のメリットは、1年間の給与額が事前にわかるため、長期の計画が立てやすいことです。また、仮に期待された成果を残せなくとも、1年間に支払われる給与は確定しており減給の心配などがありません。

年俸制のデメリット

 年俸制のデメリットは、1年の給与が確定しているため、どれだけ活躍してもその年の間は成果が給与に反映されず、逆に成果を残せなかった場合は、翌年の年俸を減少される、ということがあります。

「年俸制=成果主義」ではない!

 年俸制についてネットなどで検索すると、「年俸制は成果主義」という表現が出てきますが、法律などでは年俸制と成果主義には何の関係もありません。日本では年俸制は野球選手などに用いられるイメージが強く、ここから「年俸制=成果主義」のイメージが強くなったものと考えられます。
 グローバル化の影響などを受け、成果主義の会社が増加しているのは事実です。年功序列ではなくやる気と実力さえあれば、若手でも出世可能という図式は、社員にとってはモチベーションアップの要因となり得ます。一方企業側からすると、個人の能力によって賃金を決定することで、人件費の削減につながります。
 しかし、従来の月給制では年功序列が基本であり、成果主義を導入すると反発が大きくなる可能性があります。「年俸制=成果主義」のイメージを利用し、年俸制を導入することで成果主義への移行をスムーズにする面も含まれると考えられます。

 このように年俸制が得か損かは、多くの場合、職種や自分力量・役職などによって変わります。また、「年俸制=成果主義」のイメージを盾に、労働者に不利益な条件を提示している可能性もあります。退職金や賞与、各種手当、残業時間などを事前にきちんと確認しましょう。


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