なにが正解?『充実した就職活動』のための就職ツール
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近年、ハローワーク、雑誌などの求人広告、職業紹介サービス、知人からの紹介など、求職者が利用できる就職ツールは多岐に渡っています。ツールが増加した分、満足のいく就職活動ができているのかというと、「新規学卒者の3年以内の離職率は3割」というほど若者の定着率は低く、職場への満足度が高くないことがうかがえます。
若者の就業意識の変化が要因とはよく耳にしますが、大抵の人は苦労して就職した会社を簡単には辞めたくないものでしょう。労働政策研究・研修機構の2007年の調査では、現在の会社から転職したいと思うことが「しばしばある」とする新卒は、「現在の会社に就職する際の情報」を「ほとんど入手できなかった」とする回答が53.6%を占めています(図1)。
このことからも、就職する際に職場の正確な情報を入手できたか否かが、後の離職意向に大きな影響を与えることが分かります。
では、数ある就職ツールのなかでどの経路を利用すれば、より正確な情報を手に入れられるのでしょうか。
以下の表は、若年層の「初めての正社員勤務先」への応募経路を調べたものです。男女ともに「学校の紹介」や「ハローワークの利用」は高卒者や高専卒者では主要な経路となっているのに対し、大卒者・院卒者では利用率が非常に低くなっています。反対に学歴(年齢)が上がるにつれて、「インターネット上の求人サイトの利用」や「民間の職業紹介サービスの利用」など、民間企業を媒介とする割合が増加しています。
また、全体の「離職者」で見ると、「インターネット上の求人サイトの利用」が男性では1番目に、女性では2番目に多いことが分かります。
次に、入社前に聞いていた労働条件が現実と異なっていたとする応募経路を見てみます。まず、入社前の条件と最も異なっているのは、男女ともに労働時間であることが分かります。
さらに、男女ともに給与額・労働時間・仕事内容のいずれにおいても、ハローワークを利用した場合に異なっていたと感じることが最も多いことが分かります。ハローワークの求人は、職業紹介サービスなどと比べて開示されている情報が少なく、正確な情報の入手が困難であることが一因だと推察されます。では、入社前に聞いていた労働条件が現実と異なることは、後の離職活動にどの程度影響するのでしょうか。
男女ともに「民間の職業紹介サービス」の利用による給与金額のズレが最も離職率が高くなる要因であることが分かります。また、いずれの労働条件にしても男女ともに「民間の職業紹介サービス」と「インターネット上の職業紹介サービス」による条件のズレが、実際の離職に繋がっていることが分かります。
なお、男性についてはその他の応募経路と離職率は同程度であるのに対し、女性は「ハローワーク利用」や「希望する会社への直接問い合わせ」でもズレが大きさによる離職率が高くなっています。また、労働時間の長さのズレによる離職率が男性よりも多く、労働時間を重視する傾向があるといえます。この一端には、結婚・育児・出産といった事情も大きいと考えられます。
一方で、(表2)でズレが一番大きいと回答されていた「ハローワーク利用」は、男性の離職において他の経路よりも高い割合とはなっていません。これらを見れば、「この就職ツールを使えば、必ず満足のいく就職ができる」とは言えないことがわかります。
少しでも充実した就職活動を行うためには、ツールに頼り切るのではなく、自分自身で情報をいかに集めることができるかということが鍵になります。
複数のツールを利用する、インターネットや図書館の情報を駆使し、業界内で比較するなど、さまざまな手段を身に付けましょう。
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