2024年11月22日( 金 )

日韓の経済力格差は?(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 日本は産業構造の改革に失敗して、経済がそれほど成長せず、低迷している。日本ではそれを「失われた20年」などと表現している。韓国も日本の産業構造を取り入れたので、同じような問題にぶつかる可能性がある。しかし、日本人と韓国人は国民性が異なり、産業にもそれが良く表れている。

 日本人は集中力が高く、個々が優秀である。一方、韓国人は全体が協調して仕事をするのが得意だ。その結果、日本は部品、素材産業に強く、韓国はその部品を輸入し、完成品をつくって輸出している。東北アジアの日本、韓国、中国の3国は分業体制が成立していたわけだ。ところが、今回の日本による輸出規制はサプライチェーンの根幹を揺るがしている。

 産業のなかでも日本と韓国が激しく競争している半導体などを含んだIT産業を比較してみよう。

 日本には日立など10大電機メーカーが存在する。昨年の10大メーカーの営業利益合計は278億ドルであったのに対し、サムスン電子の昨年の営業利益は535億ドルであった。営業利益率は日本企業が6%くらいで、サムスン電子は26%を記録している。営業利益率の高い会社と営業利益率の低い会社がけんかをしたら、どちらが勝つだろうか。

 韓国の経済構造は中国、米国で稼いだ利益を日本、中東で使っているような状況だ。韓国は数十年間、日本に対し、毎年200億ドル以上の貿易赤字を計上している。韓国は日本にとって良い「お客さま」である。しかし、今回日韓貿易摩擦が発生した。もちろん韓国にも打撃はあるが、日本の産業にとっても大きな打撃となるだろう。

 昨年、韓国から750万人が日本に渡航をしている。海外観光客ナンバーワンである中国人は大都市を中心に観光をしているが、韓国人は日本の大都市はすでに観光しており、地方に行く人も多い。

 しかし、今回の輸出規制で韓国人は政府の奨励ではなく、自発的に日本への旅行を自制しており、地方は大幅な収入減少になっているようだ。過去に不幸な歴史があり、日本と韓国は政治的なことで関係が冷え込むことはあっても、今回のように政治問題が経済衝突にまで発展したのは今回が初めてである。

 個人的には政治家が自分の主張ばかりするのではなく、相手の意見も受け入れて妥協するのが良いと思っている。米中貿易戦争など、世界経済への悪材料は1つや2つではない。このような時期に日本と韓国が経済的にぶつかり、互いに被害を受けるのは望ましくない。

 今回の日本による輸出規制で韓国産業構造の問題が露呈したのも事実である。韓国は部品、素材の国内開発に力を入れていくことになるだろう。

 経済の格差縮小で、これまで日本と喧嘩することなど考えられないと思っていた韓国人にこれからはこちらも言いたいことを言わせてもらいたいという側面もある。韓国は貧しい国で、日本がずっと援助してきたのに、今は韓国経済が成長して自己主張をするようになったことを日本は受け入れがたいだろう。しかし、お互いに現実に向き合って、どのような対応が相互利益になるかを、冷静に考えてみる時期を迎えているのではなかろうか。日韓の経済協力が今後も大事であることに変わりはない。

(了)

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