2024年11月22日( 金 )

近づく「同一労働同一賃金」、企業も労働者も心構えを

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 最近、毎日のようにニュースや新聞で目にする「働き方改革」。施策の目玉としてとくに話題に上るのが、「残業時間の上限制限」と「同一労働同一賃金」です。双方の実施期間について、中小企業は現行の予定よりも1年の猶予が決定し、大企業も「同一賃金」については1年延期が発表されました。
「残業時間の上限制限」の内容は言葉だけで想像できるのに対し、「同一労働同一賃金」は若干わかりにくく感じるのではないでしょうか。
 今回は、「同一労働同一賃金」についてみていきます。

 まず間違えてはいけないのが、「同一労働同一賃金」は、働き方改革関連法案の「正規社員と非正規社員の格差の是正」を目的とした1つの手段であり、「同一賃金」の浸透がゴールではないということです。
 日本の多くの企業では、正規社員と非正規社員では、賃金や福利厚生、教育など待遇面でさまざまな差があります。
 現在、日本の非正規社員の数は全労働者数の4割を占め、賃金は時給換算で正社員の6割程度。同一賃金が普及している欧州諸国と比較すると格差が激しく、労働生産性を落とす原因でもあります。
 非正規雇用を選択する労働者のなかには、子育てや介護など時間や勤務地に制限があり、正規雇用と同じ条件では働けない人々も大勢います。格差は、少子化や1人親家庭の貧困などにも起因しています。
  「同一労働 同一賃金」は、労働によって同じ付加価値をもたらす人には同じ賃金を支払うべきである、という考え方です。政府はこれを法に組み込み、非正規社員の待遇面を改善することが、国内の成長性増加、デフレ脱却の糸口になると考えています。
 「同一労働同一賃金」体制となれば、非正社員の基本給が増加し、賞与も支払われることになります。待遇に差がある場合は説明義務が課せられ、説明がつかない給与差をなくす方針です。

 労働者にとってはいいこと尽くしのように感じる同一賃金制度。一方で、中小企業の経営悪化につながる懸念もあります。
 今回の決定で1年の猶予ができたとはいえ、実施は21年4月からと後3年あまり。これまで待遇差があった企業は早急に準備を進めなければならず、相応の負担や混乱が生じる可能性があります。
 また、施策による組織変化が安定するまでは企業だけでなく、そこで働く労働者や社会全体に影響がおよぶかもしれず、単純に喜んでばかりもいられない状況といえます。


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