千里の道も一歩から~経営者たちの声から考える「転職」
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「最近の若者の仕事ぶりはダメだ」という言葉をよく耳にします。
具体的に何がダメなのか。経営者や役員たちに「若い人は仕事ができないと感じるか?」と尋ねてみると、「そんなことはない」という回答が多く、むしろ「地頭が良いと感じる」「パソコンなどの機械操作に慣れており、基本スキルとしてワードやエクセルなどを使うことができて助かる」などの声が聞かれます。決して、若い人材に対し否定的なわけではないのです。では、なにが問題なのでしょうか。1つに、「育て方が分からない」という意見があります。
詳しく聞いてみると、「厳しくすると辞めてしまう。次は優しく育てようと社内で決めても、『甘やかされて力がつかない』と辞めてしまう。では構い過ぎないようにしようと決めても『ほったらかされた』と辞めてしまう・・・。とにかく加減が難しい」とのこと。
また、「辛抱できない」という声も多く聞きます。これは「叱責」や「業務のハードさ」に辛抱できないというよりも、「結果が出ないことへの辛抱がたりない」という意味合いが強いようです。
会社説明会や求人案内などでは、“バリバリ仕事をして、いきいきと充実した生活をしている社員”をモデルに紹介します。そのため求職者は、そのモデルを入職後の自分の姿としてイメージします。
しかしイメージ通りの姿になるには、多くの経験や失敗を踏まなければならず、その経験の過程で、「想像していた仕事と違った」と辞めてしまう人材が多いようです。「『もっと華々しく働けると考えていたのに、実際は地道な作業ばかりで楽しくない』といわれる。しかし、華々しく働くには、新人時代にしっかり下積みをして、知識をつけておかないといけない。その我慢がきかない人が増えてきたと感じる」(企業経営者)。新卒~30代前半くらいまでの若い求職者の特徴として、「給与や休暇などの福利厚生」に次いで「やりがい」や「成長性」を求める傾向があります。なので「会社の教育方針と合わない」「地道で楽しくない」と感じると、一気にモチベーションが下がってしまうのです。
加えて人材が足りず、就職しやすいといわれる状況も、やりたくない仕事を続けるずに転職に走る若者を増加させている原因だといえるでしょう。ある人材サービス会社は「いまの採用市場なら、30歳で4回までの転職なら、何とかなる」と話します。実際に、20代ですでに複数回転職している求職者数は増加しているようです。しかし、転職を繰り返していては、重要な能力はなかなか身に着きません。いくら転職に有利な市場と言っても「すぐに辞めてしまう人材である可能性が高い」と、履歴書だけで跳ねられてしまうリスクも高くなります。ましてITやAIによる人材の代用が進んでいる時代、あなたでなくてはならないという理由や能力がなければ、ますます採用の幅は縮小していくでしょう。
「何の能力もないから、能力を付けるために転職する」ではなく、1つの場所でしっかりスキルを培ってから「スキルを生かし、向上させるための転職」が最も賢い転職だといえます。
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