九州地銀(18行)の20年3月期(19年6月期)決算を検証する (1)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の各3月期第1四半期(6月期)の決算発表日の推移表である。
~この表から見えるもの~
今年のトップ発表は8月2日(金)で、西日本FH傘下の西日本シティ銀行・長崎銀行と山口FG傘下の北九州銀行の3行だった。
・8月6日(火)は福岡中央銀行、佐賀共栄銀行、南日本銀行の3行。
・8月7日(水)は九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行の2行。
・8月8日(木)は佐賀銀行とふくおかFG傘下の福岡銀行・熊本銀行・親和銀行の3行に、4月1日、傘下行に加わった十八銀行の5行。
・8月9日(金)は筑邦銀行、豊和銀行、宮崎銀行、宮崎太陽銀行の4行。
・旧盆入りした8月13日(火)は大分銀行。これで九州地銀18行の19年6月期(第1四半期)の決算が出揃った。大分銀行はトップから遅れること10日余り。2年続けての最終発表の裏には、将来の経営統合を見据え、「他行の計数を見たうえで、自分の落としどころを決める」との思惑が垣間見える。
<まとめ>
ふくおかFGは2016年2月、十八銀行と経営統合すると発表。九州の地銀だけではなく、全国の地銀に与えた影響は大きかった。
しかし、公正取引委員会は、傘下行に親和銀行をもつふくおかFGと十八銀行が経営統合すると、長崎県内の融資シェアが寡占的になるとの見方から、「独占禁止法に基づいた統合差し止め命令の発動も辞さない」ことを双方に伝えていたという。公取委は統合承認の条件として、「懸念が解消される措置を取るよう」求めたため、無期延期状態が2年半続いていた。
そこで、ふくおかFGと十八銀行は、貸出債権を他の金融機関に譲渡することで、シェアを下げることを決断。西日本FH、九州FG、佐賀銀行などが受け入れを表明したため、ふくおかFGと十八銀行は「他行への債権譲渡により、問題視されてきたシェアの高さは緩和される」とする報告書を公取委に提出。
ふくおかFGが昨年7月31日(火)、トップで決算を発表した裏には、公取委に「早く承認するよう」にと催促するためのサインだったと推測される。その努力が功を奏し、公取委は昨年8月23日、ふくおかFGと十八銀行の経営統合を認めることを決定したのだ。
金融界では、「首相官邸が公取委をねじ伏せた」と受け止める向きが多い。今後、地銀は人口減少と地域経済の衰退により、1県1行などを含めた経営統合が認められないと生きていけないという状況が喫緊の問題となっていた。さらに、将来道州制を導入する構想を視野に、近隣他行との経営統合を積極的に進めていくこともできるようになった。
十八銀行がふくおかFGと経営統合した影響は、19年6月期の決算に早くも出ている。来年10月1日、十八銀行と親和銀行と合併し、十八親和銀行が誕生する。それにより、九州地銀の勢力図はさらに大きく変わることが予想されている。これから、19年6月期の経営成績および新たな経営統合の行方を検証していくことにしたい。
(つづく)
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