スーパーマーケット 表の事情と裏の事情(4)~24時間スーパーの実情
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実は24時間営業のスーパーにも開店時間と閉店時間がある。それは概ね午前9時と午後9時である。
普通のスーパーマーケットには特売がある。24時間営業の全国チェーンも同じであるが、原価割れか原価に近い目玉商品を24時間売り続けるわけにはいかない。さらに先述したように生鮮売り場を24時間充実させるというのも不可能である。
だから売り場にメリハリをつけるためにみなし開店と閉店の時間を設定する。午前9時から午後9時までは普通のスーパーマーケットの売り場づくりを、それ以降は夜間対応ということになるのである。チラシの目玉の提供も午前9時からというかたちになる。
もちろん、夜間対応といっても深夜のお客さんに対して積極的に何かをするというのではない。昼間作った商品を夕方のピーク時かそれ以降に見切り値下げし、なるべく売り場の生鮮品を少なくするのである。
いわば生鮮の閉店である。翌日の商品が売り場に出るころには売れ残った商品を売り場から引き、新しい商品を補充する。これもある意味で、この部分が24時間ほぼ均質な売り場で運営するコンビニとの違いである。
言い換えれば、客数ピーク時に対応する状態に程遠い売り場ということである。買い物の基本である「商品がある・正常な状態である・買いやすくなっている」というお客さんの要求から外れる。
同じ総菜でもスーパーマーケットと違ってコンビニの総菜は、ほぼすべてが店外製造である。しかも調理レベルは高く、高頻度で店に届く。さらに売り場が狭いから商品が少なくなってもスーパーマーケットのように売り場に荒涼感が出ない。
スーパーの売り場で1個残ったポテトサラダを喜んで買うひとはまずいない。だが、コンビニでは同じお客さんが「残っていて良かった」と喜んで手を伸ばす。
さらに24時間は、お客の利便性だけを考えたものではない。坪あたりの売上や客数から見ても補充と販売がうまくリンクし、売り場の鮮度感が保たれるのである。
当然、工場の稼働時間も長くなり、配送先も「近くて多店舗」だから、その分、効率も上がる。だからコンビニには、みなし開店や閉店が必要ない。それでも廃棄が出る。それから推してもスーパーマーケットの廃棄リスクは言わずもがなである。
【筑前 太郎】
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