韓国検察・尹前大統領夫人の不正疑惑を受け旧統一教会本部などを家宅捜索

 18日午前7時過ぎ、韓国検察の特別チームは、警察の機動隊の支援を受けながら、韓国北部の京畿道・加平にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部と、ソウル本部の家宅捜索に入った。

 今回の捜査は、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による昨年12月の戒厳令宣布と公務執行妨害を捜査していることに関連して、尹氏の妻、金建希(キム・ゴンヒ)夫人をめぐるさまざまな不正疑惑の捜査の一環として行われたものである。

※世界平和統一家庭連合本部 今年1月撮影
※世界平和統一家庭連合本部 今年1月撮影

    旧統一教会側が2022年に「乾真(コンジン)法師」と呼ばれる宗教者を通じて、金建希夫人側に6,000万ウォン(約600万円)相当のダイヤモンドネックレスとシャネルのバッグをプレゼントしたとの疑惑が取りざたされている。金氏に対しては、旧統一教会関連のカンボジア・メコン川開発事業やニュース専門テレビ局の買収、大統領就任式への招待などに便宜を図るよう働きかけたとされる。

 この問題について、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁の側近で、世界本部長を務めた元幹部が検察の取り調べに対し、「韓鶴子総裁の決裁を受けた」と証言したとされる。一方、教団側は「元幹部個人の逸脱行為であり、組織としての関与はない」と否定している。

 検察は捜査にあたり、5月に韓鶴子氏らの出国を禁じる措置を講じている。今回の家宅捜索には、元幹部の自宅や、加平にある「天正宮」、韓鶴子氏の私室なども含まれているという。

 旧統一教会の聖地とされる加平は、約500万坪の土地に教団の創始者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏と妻の韓鶴子氏を神格化する象徴的な存在である「天正宮」をはじめ、学校や教団の研修施設があり、日本人信者を含めた多くの信徒が「修練会」と呼ばれる研修を受けるなど、教団の中心的拠点である。

 今回の韓国検察の動きを受け、旧統一教会の元信徒は「日本と韓国の教団は、多くの被害を生んだ過去に対する反省がない」と述べ、「韓国の捜査当局にはしっかり追及してもらいたい」と語った。

【近藤将勝】

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