2024年11月23日( 土 )

米中対立・日韓対立のゆくえ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は読者に「1965年の日韓条約、日韓請求権協定締結に至る具体的経過を改めてよく知る必要がある」と訴えた9月21日付の記事を紹介する。


日韓対立のゆくえはどこに着地するのか…

 米中の対立では米国が、日韓の対立では日本が敗北することになるだろう。根拠は、米日の主張の正当性が希薄であること。

 日本のマスメディアの大半は政治権力の御用機関に成り下がっているから、適正な情報提供を行っていない。言論人の多くも政治権力に媚びを売る者が大勢で、正当性のある主張を提示しない。

 多くの主権者は偏向したマスメディアというフィルターを通した情報しか得ておらず、政治権力によるメディアコントロールの餌食になってしまっている。

 米国のトランプ大統領は右に左に揺れ動いているが、基本は、対中強硬路線を採用している。

 米国の対中貿易赤字を減らすために、中国からの輸入に制裁関税を発動した。この関税率引き上げ行動がエスカレートしてきた。中国も米国からの輸入に対する関税率引き上げに動いたが、これは米国の行動に対する報復措置である。

 中国から仕掛けたものではない。中国は当初、米国の主張に譲歩する姿勢を示してきた。米国からの農産物輸入拡大要求に応じ、政府による外国企業に対する技術移転強要を禁止する法律の整備も行った。ところが、米国の要求がエスカレートしたことを受けて対応を変化させた。

 米国は中国に対して、民間企業同士の技術移転をも禁止することを求めた。さらに、中国政府による産業補助金の全廃を法定化することも求めた。しかし、これは過大な要求である。

 中国政府は政府による技術移転強要を禁止する法律を制定した。しかし、米国は民間企業同士の技術移転も禁止することを求めた。また、米国は中国政府による産業補助金の全廃を求めたが、これは、米国政府が実施している産業補助金行政と矛盾するものだ。

 米国は農業に対して巨大な補助金を投下している。この補助金の力で米国農業は輸出競争力を確保している。自国産業には輸出振興のための産業補助金を投下しながら、中国の産業補助金を全廃しろというのは筋が通らない。

 また、トランプ大統領は中国からの輸入全般に25%という高率の制裁関税を適用しようとしている。この関税率の水準は世界が保護主義に突き進んだ1930年ごろに匹敵するものだ。自由貿易体制を破壊しようとしているのは米国であると認定せざるを得ない。

 中国は5月の閣僚級会合の段階から、対米交渉での譲歩姿勢を修正した。米国の不当な要求には屈しない姿勢を鮮明にした。

 トランプ大統領と習近平主席の政治基盤を比較すると、トランプ大統領の基盤の方が脆弱である。これらのことから、私は一貫してこの米中対立で最終的に引き下がることになるのは米国だとの見方を示し続けてきた。

 トランプ大統領が強硬な姿勢を貫けば、米国経済はリセッションに突入することになるだろう。その場合には米国株価は下落する。

 トランプ大統領はFRBに対する利下げ圧力を強めるだろうが、米国経済の本格調整に対しては利下げの効果は限定的になる。トランプ大統領は大統領選を目前にして窮地に追い込まれる。

※続きは9月21日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「津波対策忌避の責任問わない東京腐敗裁判所」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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