2024年12月22日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~トランプが米企業に「中国撤退命令」(前)

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 トランプ米大統領は8月23日、中国で事業を展開する米企業に対し、中国から撤退するよう求めた。中国からの輸入品に対する制裁関税のさらなる引き上げもツイッターで表明。中国政府が発表した報復措置に一歩も引かず、ノーガードでの打ち合いとなっている。

 「率直に言ってわれわれは中国を必要としない」。トランプ氏はツイッターでこう言い切った。「貿易不均衡を正さなければならない」と強調し、米企業に対し、米国への回帰も含め「中国の代替地を速やかに探し始めるよう命じる」と言及した。

トランプ発言のリスクは大きい

 この発言が持つリスクは大きい。なぜならロディアム・グループによると、米企業は1990~2017年に中国へ総額2,560億ドルも投資してきたからだ。中国企業の対米投資額は1,400億ドルだった。

 一部の米企業は、貿易摩擦発生の1年余り前に中国から事業を移転させている。しかし事業や生産設備を中国から完全に引き揚げるには相当な時間がかかるだろう。さらに航空機やサービス、小売りなどの米企業の多くは、規模が非常に大きいだけでなく成長を続けている中国市場を手放すことを拒むのは間違いない。

 米中ビジネス評議会(USCBC)が会員企業を対象にこのほど行った調査によると、米国企業の圧倒的多数が、「中国事業で利益を得ている」と答え、このうち中国事業の利益率が事業全体の利益率を上回った企業が昨年の38%から、今年は46%に増加した。これと同時に、大半の企業が、「中国事業の収益は過去1年間に引き続き増加した」と答えた。

 注目されるのは、中国事業の収益状況をたずねるこの調査で、米企業の97%が2018年と19年の2回の調査でいずれも「収益がある」と回答し、10年以降で最も高い割合になったことだ。

離れたくない、米企業は引き続き中国市場を評価

 こうしたデータから、中国は米国企業が稼ぐための「ベース」であり、捧げ持った後で軽々しく捨て去る企業などないことがわかる。

 目下の中米貿易関係は 緊張状態にあるが、調査を通じて中国市場を離れたくない米国企業の心理がうかがえる。「事業を中国以外の場所へ移転していない、または移転する計画はない」とした企業が87%に上り、回答企業の大半が中国市場を耕し続けていることがわかる。

 米会員制スーパー大手コストコ(中国名・開市客)はこのほど中国店をオープンした初日に大きな売り上げを達成し、大勢の買い物客が殺到し、棚がほぼ空っぽになる活況を呈した。

 米高級ジュエリーブランド・ティファニーの最新の決算によると、米国市場の販売量が減少する中、中国市場は2桁の増加を維持した。最高経営責任者(CEO)は、「中国の需要の伸びに引き続き期待している」と述べた。

 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は社説で、「米国の一部の人は米ビジネス界と中国が距離を保つことを願うかもしれないが、中国は世界のビジネスにとって極めて重要な存在だ。米企業と中国とは緊密な結びつきがあり、この関係を解消することは混乱に満ちたプロセスになり、またグローバル経済に破壊的な影響をもたらす可能性がある」との見方を示した。

 また複数のシンボル的プロジェクトがここ1年の間に決まっている。米最大の石油会社エクソンモービルは100億ドル(約1兆822億円)を出資して広東省で大型独資石油化学プロジェクトの建設を決定した。テスラの上海ギガファクトリー3は今年1月に着工し、工事は順調に進んでおり、年内に稼働して生産がスター卜する見込みだ。フォードは今後5年間、中国に114億ドルを投入して研究開発を進め、中国人消費者のニーズに応えるとしている。

 米調査会社ロジウム・グループのデータでは、今年上半期に米国企業の対中投資額は68億ドルに上り、過去2年間の同期の平均値より1・5%増加した。米国企業はまさに「足による投票」をしており、投資規模は情勢とは逆に拡大している。全米商工会議所(USCC)のブライアント副会長が述べたように、「米企業に14億人の消費者を擁する巨大市場を無視するよう求めるべきではない」。

 こうした背景の中で、USCBCのクレイグ・アレン会長は貿易が米企業にもたらす潜在的なマイナス影響に強い懸念を示しつつ、「市場シェアを失うことは簡単だが、取り戻すことは難しい。米中両国政府が交渉のテーブルに戻ることが目下の急務だ」と述べた。

(つづく)


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