韓国経済が抱えている問題(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国経済のもう1つの大きな問題は、所得格差の固定化である。以前は貧しい家庭に生まれていても、自分の努力で出世、成功する道がたくさんあったが、現在は貧困が子どもの世代に引き継がれることが多くなった。韓国では私教育の費用が高く、私教育を受けられる家庭と、そうではない家庭の格差が広がりつつある。
たとえば、両親の所得が500万ウォン以上の中学1年生の平均点数は218.3点であるのに対して、両親が200万ウォン以下の所得の中学1年生の平均点数は192.6点で、所得の高い家庭の学生の点数のほうが13%以上高いことが明らかになった。
ソウルの富裕層は江南に住んでいることが多いが、江南のソウル大学の入学比率は100名中2.1名であるのに対して、江北(旧・市街地)の場合、0.1名に過ぎない。教育分野でも、いかに格差が固定化されつつあるかがよくわかる。このような現実は若者の夢を奪い、人生においてチャレンジすることをためらわせている。
最後に、韓国経済が抱えているもう1つの問題として経済偏重の現状が挙げられる。韓国の輸出の26%は中国向けであり、中国偏重の韓国の経済構造は大きな問題となっている。
現在のように米中が対立して、経済が混乱すると、韓国はその被害をもろに受けてしまう。それに、輸出品目の偏重もある。
韓国の輸出を支えているのは半導体である。半導体は輸出の20%強を占めるようになっているものの、鉄鋼、造船、自動車などは国際競争力を失いつつある。
半導体の問題点は、国内で発生する付加価値がそれほど多くないという点である。半導体の装置、素材などの海外依存度は高く、国内にそれほど利益が残らない。それに、半導体の雇用効果も意外と少ないという。産業平均の雇用係数が6.6名であるのに、半導体の雇用係数は、その4分1である1.4名に過ぎない。
以上のように韓国経済は構造的な問題を抱えており、今後それをうまく解決する必要がある。
しかし、ここ数年間、韓国の経済がそれなりに好況を維持できたのには、2つの理由がある。韓国の主力産業である半導体がスーパーサイクルという好況を謳歌したことで、韓国の景気を下支えしていたことと、2016年の建設景気の浮揚策が功を奏したことである。
建設投資は経済成長の半分に寄与するくらい韓国の経済成長に貢献していた。その結果、韓国経済に錯視現象が起こり、韓国経済に対する判断を見誤ってしまった。
中国は半導体産業の育成を目指し、莫大な投資をしているため、韓国の半導体産業の優位性がいつまで続くかわからない。ディプレイ、携帯電話などの分野では、中国はすでに韓国をキャッチアップしている。
激変する世界の経済環境のなかで、今後、韓国経済がどのようなかじ取りをしていくのか、全世界が注目している。
(了)
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