2024年12月23日( 月 )

【山本太郎「神回」街宣】裕福でない者同士で石を投げ合ってどうする!~大分の街宣で涙の訴え(後)

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大企業(経団連)の利益を最大化させる政治を生活者の手に取り戻す―30歳まで大企業側にいたことを反省

 山本氏 じゃあ、変えるまでやるしかないじゃないか。「変える」という希望を見せてくれる皆さんがいる限り、続けるしかないでしょう。変えたいのだよ。こんな嫌な社会にしておきたくないのだよ。

 究極はね、いま発言をいただいたような方みたいな形で、一番嫌な言葉かも知れない。努力しなくても生きていける世の中にしたいのです。それさえも許されるような世の中にしたいのですよ。頑張っているって何ですか。人によって頑張りは違うじゃないですか。あなたの頑張りと他の人の頑張りを同じラインで決められますか。無理ですよ。人それぞれだって。頑張れる時もあれば、頑張れない時もある。しかも、みんな頑張りすぎているじゃないかってことですよ。これ以上、人間を壊す社会を止めなかったら、みんなやられるということですよ。ゴメンナサイね、ゴメン。

 政治をコントロールした結果、いったい、どうなったのかということをお話させて下さい。全有権者の3割だけで政治をコントロールできてしまう。国会議員の多数派を作れるのですよ。全有権者の3割で実現したのが大企業、経団連を例に見ていきます。

 あなたの生活が苦しいことをあなたのせいにされていませんか、ということです。経団連、日本経済団体連合会、大企業が千社以上も連なっているような連合体、そこが進めてきたことは何か。政治に対して命令を行う。提言という名の命令を行う。派遣法の改正改悪。入口はどこだった。中曽根(政権)の時代。小さいところに穴を開けて、特別なところしか当てはまらないと言っていた。でも拡大した。

 製造業まで広げたのが小泉・竹中。さらに、そこから改悪されていくようなことが今もずっと続いている。これをやって得するのは誰? これをやって首が絞まるのは誰? この中に得をした人はいる? 首しか絞まっていないよ。でも、それが作れるのですよ。どうして? 多数派だから。全有権者の3割、3割を手に入れるだけで企業側が得をして人々が泣くようなことを前に進められるのです。それが政治、それが選挙。

 続いて外国人労働者。去年、2018年の終わりの国会で通った入管法。平たく言ったら何か。安い労働力を大量に、この国に長期間いられるようにするというもの。それによって首が絞まるのは誰?得をするのは誰?得するのは雇う方でしょう。首が絞まるのはあなたかもしれない。あなたの周りの人かも知れない。そして、もう一つ首が絞まるのは、外国から連れて来られた労働者ですよ。今でさえ、日本人の6割の労働環境が守れていない上に、外国人なんて奴隷労働のようなことをさせられているじゃないですか。パスポートを取り上げられて、「タコ部屋」に押し込まれて、朝早くから深夜まで労働をさせられて、残業代が100円とか。アメリカの国務省も国連からも「非人道的な扱いだ」ということを、毎年非難されている。

 そんな状況をもっと拡大させて長期間にしたらどうなるのか。日本国内で分断が起こりますよ。対立が起こる。日本でもともと働いていた人たちと、外国から訪れてきた人たちの間で、「あいつらがいるから、おれたちの仕事がないのだ」「あいつらがいるから俺たちの給料が下がっていったのだ」「あいつらがいるから私たちの労働環境が悪化していくのだ」みたいな衝突や分断が行われて、戦う相手を見間違うわけですね。それを求め続けた経団連や、これを決めた政治家たち。そこに対して、突き上げるということもされないということですよ。

 誰が得をするの?誰が損をするの?「保守」を名乗りながら自分の議席を守るために企業側に最大に恩返しをする。儲けさせるためには労働者をもっと安く働かせられるようにするためだけにやるなんて「保守」とは呼ばないのだよ。「保身だ」ということですよ。いつまで保身の議員たちを応援し続けるのだって。「仕事でつながっているから」「地元でお世話になったから」「昔からの付き合いがあるから」。そんなことで世の中をどれだけぶっ壊してきたのだよ。

 私もぶっ壊してきた人間ですよ。それに気がついたのが原発事故。原発事故が起きた時に気がついた。これを爆発させた。これの責任の一端は私にもある。そこから知った労働環境の破壊、そして、この国の貧困。すべて何があったのかって。こんな地獄みたいな世の中があったということを初めて知った。30を超えてから。恥ずかしかった。

 そして怒りに震えた。自分は何もして来なかったから。何も言って来なかったから。企業側にマイナスになるようなことを言ってしまったら、もう自分、テレビとか映画とか出られなくなるのではないか、ということです。テレビをつけたらコマーシャルが流れている。テレビ局に企業からお金が入っているから、コマーシャルがあるのでしょう。新聞を開いたら広告が載る。全てのところには、核心まで踏み込めない何かがあるということですよ。スポンサーには逆らえない。

 でも世の中に広がっている地獄を見たときに、この地獄を作り出したのは自分自身だ、本人だということに怒ったのですよ。じゃあ、何をするかって。直接言いに行こうと思ったのです、何もして来なかったので。それを「いい格好し」と言われても困る。それが私なのです。そうしたかったということです。

 「あなたは利口ではない」と言われた。当たり前です。利口だったら、そんなことをやるのかよ。黙っているよ、利口だったら。でも堪え性がなかったのですよ。そういう話なのです。(以下略。注3に囲み取材)

注3 大分市での街頭記者会見後の囲み取材

 ――(横田)先ほど、「(マイクを投げつけた人と)コミュニケーションが上手くいかなかった」とおっしゃったのですが、マイクを投げつけた人の質問に対する答えがこみ上げてくるものがあったということですが、かなり説得力があるとも聞こえたのですが。まさに、「庶民・生活者対企業・経団連」の政治の対決というか、転換をはかるという主旨がよく伝わった答えではなかったかと思うのですが。

 山本太郎代表 私のことを多分、ご存じない方なのですよ。ご存知のない方がこれだけ多くの方の前でコミュニケーションが成立しないのに、何か言葉を投げかけてくるのはよっぽどですよね。それを何て呼んでいいのか分からないけれども、雑に言うと、病んでいるということです。それは何かというと、この社会が産み出しているものだろうと。あの方の人生がどんなものだったかは知らないけれども、決して裕福には見えない方です。その中で、私みたいな「政治をやっています」という人間は、何を言ってもいい存在なので、当然、国会議員もそうです。何を言っても、国会議員から殴りかかられることはないですよね。あの方の中で溜まりに溜まったマグマをぶつける場所がここにあったということを考えるならば、あの人にとって私の存在価値があったと。最後は物にまで当たることが出来たので、と思います。

 ――(横田)あの人の立場、思いをはせながらお答えになっているので、凄いなと思ったのですが。

 山本太郎代表 やっぱり悔しいですよね。だから、ちゃんとしたコミュニケーションが出来ない状態じゃないですか。説明することも不可能だし。あの場をちゃんと仕切った上で、意志の疎通を何とかしないといけないのですよね、多分。私が求められていること、私がやるべきことは。それが上手く行かなかったという自分に対しても怒りを感じるし、もう少し、あの人のパーソナルな部分をフォーカスしたかったのですが。どういう状況か。どういうお仕事をされていて、とか。分からないですけれども、あの人が抱えているものが何なのかを知りたかったのですけれども、その入口にも立たせてもらえなかったということですね。

(了)
【横田一/ジャーナリスト】

(前)

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