殺人マンション裁判の顛末~毀損された強度・資産価値を適正な状態に戻せ!(4)
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――これらの設計偽装は建築確認の審査ではチェックされないのですか
仲盛 建築確認の審査においてチェックすべきことです。しかし、久留米市の審査能力が不足していたが故に、いくつもの設計偽装を見逃してしまい、違法マンションが建設されてしまいました。先程 挙げた設計の偽装は 審査担当者が図面と構造計算書を見れば 一目瞭然の内容です。これを見抜けなかった久留米市の審査担当者は仕事をしていないと言われても仕方ありません。
このマンションの管理組合から依頼を受け マンションの構造検証をしたところ、耐震強度が35%しかないことが判明しました。この驚愕の事実を久留米市に報告し、是正策を講じるよう相談をしましたが、久留米市建築指導課長は 構造を全く理解していないようで、話が全く噛み合いませんでした。後に、課長以外の職員も交えて協議するようになったので、建築指導課で構造を担当されている職員の方に「あなたが このマンションの構造計算書を審査されたとした場合、建築確認を認められますか?」と質問をしたところ 「いいえ、認められません」という答えが返ってきました。その時の指導課長のびっくりした顔は今でも覚えています。
この協議には、課長の上役である次長も出席されており、唯一この次長だけが市民目線に近い考えを持っておられました。しかし、協議を重ねている途中で 突然 担当から外されました。私は「なぜ 担当からはずされたのか?」と思いましたが、さらに上司の部長が国交省からの出向であると分かり謎が解けました。
国交省のキャリア組は地方の建築関係部署の長を歴任した後、本省へ戻り 出世を続けます。キャリア組を預かる自治体としては、お預かり物に傷を付ける訳にはいかないので、行政にとって余計な正義感を持った職員は邪魔な存在となるのです。
そして、久留米市建築指導課は自らの審査ミスを隠ぺいするためか、管理組合代表との協議を一方的に打ち切ってしまいました。
現在、建築確認業務の大半は民間の確認機関が行っています。平成19年6月に建築関係法令が改正された後は、建築確認審査が厳格になっているので、基本的に このような偽装は起こらない仕組みになっています。
(つづく)
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