殺人マンション裁判の顛末~毀損された強度・資産価値を適正な状態に戻せ!(5)
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東京都豊洲市場 日建設計による設計偽装
――平成19年以降は構造計算の偽装は無いと考えられますか?
仲盛 残念ながら、東京都豊洲市場の水産仲卸売場棟において、久留米の欠陥マンションと同様の法令規準違反が発覚し、現在、仲卸業者が東京都を相手取って豊洲市場の使用禁止を求める訴訟を起こしています。
この豊洲市場の施設の設計は 国内で最大手の設計事務所である日建設計が手掛けました。日建設計は 設計偽装を自覚していたのか、東京都の市場問題プロジェクトチームの会議において、メーカーのカタログに加筆した資料を提出して偽装を隠ぺいしようとした事実があります。この点については、私も インターネットを通じて指摘しましたが、日建設計からは何ら反論はありません。
――弊社の東京支社に豊洲市場の裁判に関する問い合わせも寄せられているので、東京の豊洲市場について 少しお聞きします。豊洲市場の設計偽装は 建築確認において 指摘・是正されなかったのですか?
仲盛 豊洲市場は公共建築物ですので、建築確認ではなく計画通知という制度であり、東京都が審査をします。つまり、東京都が建築主である建物の審査を東京都が行うということです。
ダブルチェックである構造計算適合性判定を行った公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターは、理事に元東京都知事本局理事がおり、監事に東京都会計管理局管理部長がおり、評議員には元東京都都市計画部長と東京都住宅政策本部住宅企画部長がいるなど、東京都の身内が多く存在しています。そして、東京都の身内である 東京都防災・建築まちづくりセンターによる構造計算適合性判定においても、先に挙げた構造計算の偽装を見逃がしてしまい、巨額の税金を投じて違法建築物を建設するに至ってしまったのです。
――豊洲市場における設計の偽装を教えてください。
仲盛 一つ目は、層間変形角が建築基準法を満たしていない(建築基準法施行令第82条の2違反)ということです。
二つ目は、保有水平耐力計算における係数を不適切に低減しているため、安全が確認できないということです。
三つ目は、鉄骨鉄筋コンクリート造である建物の1階の柱脚の鉄量が規定の半分程度しか存在しないということです。
――豊洲市場の裁判の方は進んでいるのでしょうか?
仲盛 仲卸業者が提訴したのは 2018年6月29日です。 やがて1年半となりますが、驚くことに1回目の審理 期日において 裁判長が審理に入ることなく結審しよ うとする暴挙に出たため、原告側が裁判官忌避を申し 立てるなど混乱があった末、再度、審理を進めること になりました。 以下に、久留米のマンションや豊洲市場に共通する法令違反の一つ「保有水平耐力計算における係数Ds値に偽装」について、構造毎に採用すべきDsの考え方を図にて示します。
次に、保有水平耐力計算における係数(構造特性係数:Ds)について、構造計算適合性判定機関の指導を紹介します。
①福岡県建築住宅センター・九州住宅保証2社の「判定事例による質疑事項と設計者の対応集」より
②愛知県建築住宅センターの「構造計算適合性判定事例解説集」より
また、建築物の構造関係技術基準解説書には「柱を支える柱脚の鉄量が柱頭の鉄量と同等以上でなければならない」という規定もありますが、豊洲市場水産仲卸売場棟においては、規定の56%の鉄量となっていることが判明しています。
これについて 東京都は、「建築基準法には鉄量の規定がないので、日建設計が設計した本件建築物の鉄量が56%しかなくても問題ない」という主張をしています。さらに東京都の反論では「56%でなく59%である」と主張していますが、これは「41%不足していること」を東京都が法廷で認めていることになります。
東京都の「建築基準法には鉄量の規定がない」との主張にも関連しますが、マスコミからの取材に対して 東京都は、「建築確認においては建築基準法以外の法律への適合はチェックしない」と回答していますが、これは 建築確認の実状とかけ離れた 乱暴な主張です。
(つづく)
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