イオン流とローカライズで事業を展開 アジアにおける成長機会を獲得し(前)
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イオンは人口減少にともなう国内市場の収縮により、中間層が増加し消費の拡大が見込まれるアジアにフォーカスしようとしている。まず、海外モール事業で中国に進出、アセアンにも地域を広げ、苦戦していた中国事業では赤字を脱却、遅れて進出したアセアン事業も早期に黒字化し新たな収益源となってきた。
中国進出は当初苦戦したが、イオン流で打開し成功を収める
イオンの海外進出は2008年11月のイオンモールのショッピングセンター(SC)「北京国際商城」からスタートした。当初は総賃貸面積が狭く、テナントリーシングにも苦戦し、空床が発生するなど厳しい状況だった。当時、施設をつくるにあたって譲らなかったのは、映画館を必ず入れるようにしたこと。さまざまな困難があったが、エンターテインメント性を大きく打ち出したことが、今の成功の要因の1つになっている。さらに、イオン流のまちづくりや商業の施設管理などの考えを従業員やテナントに理解してもらいながら事業を進めてきたことも大きい。
物件はマスターリースが基本で、立地は郊外で近くに地下鉄の駅があればベスト、駐車場は3,000台〜4,000台、総賃貸面積は7〜8万m2で出店、その後2期、3期と増床、テナントは1年後から状況を見て適時入れ替えて活性化を図っていく。現在、成長力の高い(1)広東省、(2)北京市・天津市・山東省、(3)江蘇省・浙江省、(4)湖北省の4つのエリアに出店、19年10月末現在、20モールを展開している。
順調なアセアンでの事業展開
14年からベトナム、インドネシア、カンボジアで展開するアセアン事業。17年度に営業利益ベースで黒字化をはたし、今期も引き続き好調で、すべてのモールで売上が前年を上回っている。イオンモールのブランディング力も向上し、モールの人気を左右するテナントリーシングにおいても、テナント募集説明会に希望者が多数詰めかけるようになり、出店したい選ばれるモールになり、賃料交渉においても有利な条件を提示することができるようになった。
立地は基本的には人が集まる場所だが、イオンモールが出店したことを理由に住む人が増え、購買層も拡大することで、さらに売上がアップするという好循環を生み出している。好調の原因は、市場環境も大いに寄与している。日本と比較してアセアン諸国が高い経済成長率で成長段階にあるため、所得水準も上がり中間所得層が増大、消費水準もアップし購買力が増している。
ベトナムを最重要エリアに位置づけ
地域的には今後もまだまだ人口が増え、経済成長が見込め、出店余地もあることから、3国のなかではベトナムを最重要マーケットと位置づけている。イオンはホーチミン市とハノイ市の人民委員会と投資や事業推進に関する覚書を結んでおり、ベトナム政府とも良好な関係を保ち、それが大きなアドバンテージとなっている。現在、ドミナント戦略で、2大都市のハノイ2店舗とホーチミン3店舗展開、2020年にはベトナム国内で成長著しいハイフォンにも進出する。
一方、インドネシアは2億6,000万人という膨大な人口を抱える巨大市場。ジャカルタで2店舗出店しているが、15年5月オープンした1号店「イオンモールBSD CITY」は、大成功を収めている。今後は、都市中心部では商業施設が飽和状態で、郊外へのドーナツ現象も見られることから、ジャカルタ近郊および周辺都市で3店舗を出店する計画だ。
(つづく)
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