2024年12月23日( 月 )

「消費税は諸悪の根源」と湖東氏、オールジャパン平和と共生院内集会で

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熱心に話を聞く参加者(2019.11.15筆者撮影)
熱心に話を聞く参加者(2019.11.15筆者撮影)

 オールジャパン平和と共生(政策連合)は15日、衆議院第二議員会館内で「いま消費税を問う!」と題する専門家・国会議員・市民による集会を開き、「不公平な税制をただす会」の湖東京至(ことう・きょうじ、元静岡大学教授・税理士)・荒川俊之(税理士)の両氏から話を聞いた。湖東氏は消費税が物価高や給与削減、格差拡大、貿易戦争などを促しているとして「諸悪の根源」と両断した。

 集会には国民民主党の篠原孝・小宮山泰子両衆議院議員、共産党の笠井亮(あきら)衆議院議員、会派「碧水会(へきすいかい)」の嘉田由紀子参院議員、福島伸亨(のぶゆき)前衆院議員、政策連合顧問の山田正彦元農水相のほか、7月の参院選にれいわ新選組から立候補した渡辺照子氏が参加。地方遊説中の山本太郎・れいわ代表からのメッセージが読み上げられた。

 冒頭、最高顧問の原中勝征(かつゆき)元日本医師会会長が原発問題に触れ、「政府は国民を大事にしているのか。消費税もこの流れのなかにある。専門の先生方から話を聞き、子や孫の時代、日本がいい国になっているようにしなければ」とあいさつした。

 2人の専門家からの問題提起と国会議員らの意見表明の後、参加者からの質問を受けた。運営委員・斉藤まさし氏から消費税廃止を求める国民運動の提言があり、同じく運営委員で経済学者の植草一秀氏が「自公に対峙(たいじ)するためにはみんなの連帯が必要」と、「ガーベラ革命」への参加を呼び掛けた。

 湖東氏の講話の骨子は次の通り。

消費税のからくりを明かす湖東氏(2019.11.15筆者撮影)
消費税のからくりを明かす湖東氏
(2019.11.15筆者撮影)

 消費税は私たちが払っていると思う方がほとんどだが、皆さんが払っているのは、消費税に名を借りた得体の知れない物価。値段を決めるのは企業。自由に上げても下げても、そのままでもいい。Suicaと切符で対応が違ったり、新聞によっても価格変更がまちまちなのはそのため。政府が「上げる」と発表すると、力のある事業者は上げるだけ。これは便乗値上げだ。

 消費税を納めるのは事業者で、1つ1つにかかる税金ではない。皆さんが払っている分がそっくりそのまま税務署に行かない、極めて不透明で不愉快な制度。

 事業者のことがわからないと、この税金が何で悪いのかはわからない。消費税の本当の名前は「付加価値税」。1950年、「シャウプ勧告」のシャウプ博士が来日して、世界で初めて導入を提案した。目的は、赤字の事業者にも税を負担させること。反対が多く、1954年に廃案になった。

 同じ1954年、フランスが入れた。直接税の事業税に代わり、同じかたちなのに間接税と位置付けた。ここに陰謀がある。仏国は輸出が弱く、輸出企業は補助金が欲しい。しかし、政府が直接予算を組み輸出を奨励することは、GATT(関税および貿易に関する一般協定)に反する。そこで見付けたのが、付加価値税を事業者が納めるやり方。

 「仕入れ税額控除方式」と呼ばれる方法で、消費税・付加価値税の根幹をなす。事業者が納めるのは

売上高×10%(税率)−仕入れにかかった経費×10%(税率)

 輸出企業の税率は0%で、仕入れにかかった経費×10%が還付金として戻る。これをやりたいために、今では世界130カ国以上が導入している。トヨタ自動車は毎年約3,600億円が還付され、所管の豊田税務署(愛知)は赤字。日産自動車のある神奈川税務署(神奈川)やマツダのある海田税務署(広島)も赤字。

『税制研究』No.75「わが国消費税30年と韓国付加価値税42年を比較して」(湖東京至)より
『税制研究』No.75「わが国消費税30年と韓国付加価値税42年を比較して」(湖東京至)より
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 法人3税と違い、赤字でも納めなければならず、国税の滞納率の1位。課税事業者の2割弱が滞納し、税金の全滞納額の6割を占める。これが景気の足を引っ張る。消費者にとっては、物価が上がる。事業者にとってはさらに景気を悪化させ、給料を上げられない。人件費は経費に入らないが、派遣だと計上できる。それで、正社員を雇わなくなり、給料も上がらない。

 一方は納税で苦しみ、一方は還付金を受ける。格差社会が生まれる。税率を上げるほど還付が増えるから、経団連は大賛成。だから、「早く欧州並みの20%にせよ」と言っている。仮に下請から請求がきても、元の単価を値切ればいい。

 米国に消費税・付加価値税はない。メキシコ国境に壁を造ったり、中国に貿易戦争を仕掛けているのはそのため。日本の農産品や自動車の関税を上げると言っているが、諸悪の根源はすべて消費税・付加価値税。これがなければ、農家は苦しまない。これからさらにひどくなる。

 マレーシアは2015年に6%の付加価値税を入れたが、廃止を野党統一のスローガンにして実現した。財源はある。日本はまず5%にして、やがて廃止を展望しなければ、この国で中小企業はやっていけない。1日も早く、この税をなくそう。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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