美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─(2)
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明治7年開校、歴史と伝統ある松末小学校
ライオンズクラブ(以下LC)337-A地区が、2017年7月の九州北部豪雨における災害支援活動として、朝倉市立松末(ますえ)小学校の(2018年3月廃校)体育館に床工事を「寄贈」したことについて、前回述べた。
なぜ、朝倉市は地域住民からの要望があったにもかかわらず、同校体育館の改修工事を発注できず、LC337-A地区から「寄贈」を受けたのかを時系列で明らかにしていく。
朝倉市立松末小学校は、2018年3月の廃校が豪雨被害を受ける前から決定していた。同校は、明治7年(1874年)開校、140年以上の歴史を松末地区で刻み、多くの児童が同校を巣立っていった。地域と学校が一体となり、相互で支え、励まし合っていたといい、地域密着のお手本ともいえる。
17年7月の九州北部豪雨は朝倉市に甚大な被害をもたらした。松末地区も同様で、土砂、流木によって壊滅状態となってしまう。同校校舎および体育館などの各施設も崩壊し、校庭にあった相撲場は土俵もとろも跡形もなく流されてしまうなど、目を覆うばかりの惨状だったという。
同校での楽しく、平穏な日々が跡形もなく消え去ってしまったのだ。同校に通う生徒たち、親御さん、そして教職員、地域の方々の失望・失意はいかばかりだったか想像すらできない。
皆が悲しみと絶望にうちひしがれていたが、やがて復興への機運が高まってくる。地域住民もそれに賛同し、行動を始める。同校の復旧もしかりだった。同校の体育館は約2mの土砂で覆われ、運動場も厚い泥に覆われたままだった。中には「どうせ廃校するのだから、そのまま壊してしまう」という意見もあったという。
夏休みが明けた生徒たちは、仮設校舎で授業を受けていた。その後、「松末小学校最後の卒業式を体育館で行う」という地域住民からの声があがる。学校側も「ぜひとも実現しましょう」と、その声に賛同した。
地域住民をはじめ、同校の生徒たちや関係者一同が、明日の生活など、先が見えない状況にありながら、希望をもって復旧活動に取り組み始めたのが、9月のことである。
すると朝倉青年会議所(朝倉JC)の有志が「体育館で卒業式を行う」という目標に対してのアクションを起こす。まずは、土砂を除去するために重機を搬入し、そこから同校の本格的な復旧活動が開始された。
朝倉JCのメンバーは「卒業式をこの体育館で行い、子どもたち送り出してあげたい」という熱い思いを胸に寸暇を惜しんで復旧活動に取り組んだ。その活動の輪は、地域の方々、同校の先生、そして生徒たち、親御さんへと広がっていった。
【河原 清明】
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