誰もが「自分の未病の医者」になれる 未病メソッドを提唱し、未病産業を振興(1)
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(一社)日本未病総合研究所 代表理事 福生 吉裕 氏
未病の考え方を普及し、未病総研メソッドを提案する団体として、(一社)日本未病総合研究所=未病総研(代表理事:福生吉裕)が今年1月に発足した。(一社)日本医学会連合の高久史麿名誉会長、日本医師会の横倉義武会長両氏を顧問に迎え、企業・団体とコンソーシアムを組んで未病総研メソッドの振興に取り組んでいくという。福生代表理事に未病総研設立の目的と今後の事業展開について語ってもらった。
マクロ未病学とミクロ未病学の融合を目指して
未病総研をつくった理由は3つあります。第1の理由は、マクロ未病学とミクロ未病学は近年相補いながら進化してきましたが、さらなる融合を目指す時がきたと感じたからです。マクロ未病学とは、主に社会経済状況探査や制度設計に由来する社会科学です。ミクロ未病学は、身体状態の計測や改善の分野の生体科学的研究を指します。
まず、マクロ未病学からいえば、人口構成の逆ピラミッド現象はますます続き、国民医療費は42兆円を超えるまでになりました。5,000万円もする高額医薬品と、一方では安いジェネリック医薬品が混在する医療システムが常態化しています。これは健全な国民皆保健制度といえるでしょうか。
これでは医療財政が破綻の危機に瀕するのは、誰の目にも明らかです。そこで抜本的なパラダイムシフトが求められます。それを第三の身体状態、すなわち未病の創設であるとして、それを活用するメソッドを提唱しております。世界に先駆け、日本で(一社)日本未病システム学会が1997年に誕生しました。私は理事長をしておりましたが、学会だけでは社会への普及は弱いと気づき、この学会をサポートする応援団として未病総研を設立したのです。
健康・医療戦略に「未病」が明記された
第2の理由は、2017年2月に閣議決定された「健康・医療戦略」(改訂版)のなかに「未病」の文言が初めて明記されたことです。公文書として初めて「未病」の概念が示されたのです。このなかでは未病の考え方を基に、「新しいヘルスケア産業が創出されることが期待される」と記され、未病ケアの重要性にも触れています。これが未病総研を設立するにあたり、強い後押しになりました。未病は「健康・医療戦略」として閣議決定されたものですから、今後それぞれの自治体へ普及し、未病を活用する健康・医療行政に予算が組み込まれていくでしょう。
第3の理由としては、これからの未病産業が広がり、経営的にも発展していくことです。すでに実証実験の結果が出ています。2014年に神奈川県で「医療特区」として、未病の取り組みが実験的に始められました。そして、何と5年後には「財政上の黒字」を収めております。神奈川県のホームページにも出ております。未病産業で健康と財政上の黒字化が図れる、これは大きな自信になりました。
この未病の概念を、国際医療福祉大学の教授であられた黒岩さんにお伝えしたのが実は私です。まだ知事になっておられない時でした。今後は、この成功事例が全国に広まっていくと確信しております。さらに神奈川県選出の国会議員で、先頃環境大臣になられた小泉進次郎氏も、「自分の身体は自分で守る」と、未病の考え方に通じることを提唱されています(読売新聞5月29日付)。彼は「ものいう若い世代の代表」として次の時代の未病の旗手となっていくでしょう。
(つづく)
【吉村 敏】<プロフィール>
福生吉裕(ふくお・よしひろ)
医学博士。1947年生まれ。日本医科大学卒。三重県出身。
日本医科大学連携教授。(一財)博慈会老人病研究所所長。(一社)日本未病システム学会前理事長。1995年第1回 東京未病研究会創設会長。1997年、日本未病システム学会を設立、常任理事。2003年、第7回アジアオセアニア国際老年学会においてMibyouシンポジウムを開催。博慈会老人病研究所紀要「未病と抗老化」編集長。2013年、第20回日本未病システム学会会長。2014年日本未病システム学会理事長。2019年、(一社)日本未病総合研究所代表理事。
資格/日本未病システム学会認定未病医、日本内科学会認定内科医、日本動脈硬化学会評議員・功労会員、日本老年医学学会指導医・評議員。中国長春中医薬大学客員教授。関連記事
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