名門ゴルフクラブの株主権確認訴訟~法務過誤 弁護士の故意犯罪の場合
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(株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場の創業者・田原學氏が亡くなった後、同社の株式をめぐる裁判が行われている(関連記事:曖昧な株式管理が生んだ名門ゴルフクラブの経営権争い(前))。本件に関し、「町の法律好々爺」凡学一生氏が解説する。
ここまで弁護士が犯罪行為を堂々と裁判手続で行えば、「町の法律好々爺」もころりと騙されてしまう。国民にとっても信じられない光景に違いない。
筆者は先に、第一審判決の疑問点として、原告が主張する400株の母からの譲受については母自身の完全な否定の陳述書(乙3号証)が存在するし、被告会社の取締役会の承認もなく、母が全株所有者のいわゆる一人会社であっても、平成5年の最高裁判決が取締役会の承認決議がなくても一人会社株式譲渡は有効と認めた事案では手続瑕疵の主張者自身が背信行為の口実とした事情があり、本件ではそのような事情が存在しないため、事案が異なり、無条件に株式譲渡を有効と認めることはできないと解説した。
念の為、一審判決が如何なる理由で原告の株式取得を有効と認めたのかを確認して、驚天動地した。何と、被告が提出した母の陳述書は偽造書面証拠だったのである。正確には、被告弁護人弁護士・木下藤吉郎(仮名)が、母にまったくその内容を説明しないで、母から押印を取得した陳述書であった。それを後に知らされた母自身が、再び陳述書(甲30号証)で、完膚なきまでに木下弁護士の悪行・犯罪行為を指摘した。木下が母の証人尋問に積極的でなかったことについての疑問もこれで完全に氷解した。
確かに木下弁護士の犯罪行為は目に余る酷さであるが、それと法的安定性が重視される判例法では別次元の問題である。母は息子2人から被告会社の全株式の譲渡を受けたが、その際、会社は当該株式譲渡を承認して株主総会決議議事録を作成した。それは実質的な株主である父の意思であることからそのような手続記録も作成された。
しかし、母から原告への譲渡について、母は原告に譲渡する意思が存在したと一審判決は認めたが、原告が譲渡承認手続きをとらなかった法的瑕疵は不問にした。もちろん、原告は株主名簿の書換請求を行っており、これが実質的に譲渡承認手続きと同じ趣旨であったとしても、法形式は異なる。
小規模未公開株式会社の紛争をすべて「実質的意味」で解釈することは、「実質的意味」が不明でなければ問題ないが、本件事例のように、重大なキーパーソンが事理弁別の能力を喪失し、関係者も悪徳弁護士の意のままになっていて真意そのものが存在しない場合、真実としての「実質的意味」など認定不能である。本則に従い判断し、足らざるところは釈明権の行使によって補充補足すべきが裁判官の義務である。
結局、最終的には平成5年判決を「無条件に」一人会社の株式の譲渡には取締役会の承認は不要とする「拡大解釈」をしてしまった。その結果が相続人全員にとって不幸である結果は何もかわらない。
事実、母の真意は息子に経営のリーダーシップをとらせることにあったのであり、その方法として理解して株式の全部を譲渡したのではない、なぜなら、株式の全部を譲渡すれば莫大な贈与税の負担を生じることなど知らず、リーダーシップ、つまり息子を代表取締役にするには親族の取締役会で決めれば済むことであるから、全株式の譲渡は不要かつ重大な損失行為になることも知らなかった。
無論、法的知識のない母に、このような判断力もないのだから、真意なども存在しない。裁判官が勝手に母の真意と認定したに過ぎない。
ここで、国民にとって問題なのはむしろ、犯罪弁護士が何のお咎めも受けない、現在の裁判制度、司法制度である。弁護士が裁判制度のなかで犯罪行為を行えば、利害関係のある市民の要求で、当該弁護士は資格停止、資格剥奪の責めを負うくらいの厳しさがなければ、弁護士の法務過誤は撲滅できない。弁護士会の懲戒制度がほぼ無機能・画餅であることは、本件のような弁護士が現に存在することで証明済みである。
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