改革を推し進め九州を代表する私学へ躍進 日本有数の教育拠点づくりを目指す
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学校運営
(学)福岡工業大学全国から注目される存在
「採用を増やしたい大学」で全国第1位――。日経キャリアマガジン特別編集「価値ある大学2020年版」において、日本経済新聞社と日経HR社が上場企業と一部の未上場企業の人事担当者に対して行なったイメージ調査の結果が掲載され、福岡工業大学(以下、FIT)が上記の評価「全国第1位」を獲得した。2019年大学通信による全国の高等学校の進路指導教諭へのアンケート調査においては、「入学後、生徒を伸ばしてくれる大学」として九州の私立大学で第1位を獲得。
ほかにも、「研究力が高い大学」「教育力が高い大学」「面倒見がよい大学」など、いくつもの分野において九州の私立大学第1位(工科系大学編含む)と高い評価を得ており、今や九州を代表する大学として全国から注目される存在となった。
大学に対する高評価は、入学志願者数にも表れている。志願者が13年連続で増加、近年は3年連続して志願倍率が10倍を超す人気ぶりだ。少子化が問題視されている今日、志願者数が増加しているだけでも注目すべきだが、それが13年も続いているというから驚きである。この躍進を支えているのが、「“For all the students”すべての学生生徒のために」という理念であり、この思いを共有し実践するためのさまざまな改革を行ってきた。
教職員の満足度も追求
学内の施設を訪ねると、教職員、学生が明るく挨拶をしてくれる。空気が澄んでいるような気持ち良さも覚える。敷地内がきれいに清掃されているからだろうと理事・事務局長・山下剛氏に尋ねると、「学校を訪ねて来られる方からよく言われます」と笑顔で返された。空気感は教職員、学生、施設など全体から生まれるもので、短期間で醸成できるものではない。ここにも改革の成果が出ているのだろう。
学生を支える教職員の満足度も空気をつくり出す要因だが、教員だけなく職員のスキルアップへの投資を惜しまないのも特徴といえるだろう。さまざまな研修が用意されており、専任職員の米国姉妹校における2カ月間のSD研修(スタッフデベロップメントの略)始め特定職員にも多様な研修の機会が設けられているというから、相当な力の入れようだ。
皆の成長を支援することは、「自分たちは大事にされている」という喜びとなる。そうして「学生生徒のため」に、自主的に考え行動する人材と組織が出来上がってきたのだといえる。
休暇を取りやすい雰囲気もやる気を向上させる。「平日に連続5日の休暇を取らなければならないという規定もあり、利用目的はとくに問いません」と山下氏も語るほど、働きやすい環境である。
学生の満足度を考えた施設
改革を実行する文化・風土をつくり上げてきたFITは今、「日本有数の教育拠点」づくりを目標に掲げている。当初は、「九州No.1の教育拠点になる」と謳っていたが、前述の通り、教員の質や施設、教育システム、学生の満足度、企業の関心度などさまざまな分野において九州の私立大学のなかで抜きん出た存在感を示している。今後は、さらに改革を進め、「日本有数の教育拠点」としての地位の確立を目指す。
学生が勉強や研究に集中できる環境を整えているのも特筆すべき項目の1つであろう。
「4,000人の学生に対して、教室を含め1万席あるのでどこかで勉強したり、くつろげる。学生たちの利用時間も長く、よく勉強もしています」と山下氏は目尻を下げる。
図書館にも学生に対する細かい配慮を見ることができる。館内はアクティブフロア、クワイエットフロア、サイレントフロアに分かれていて、アクティブフロアはBGMが流れ、飲み物やスナック類の持ち込みが認められている。リラックスした雰囲気のなかで自習や会話も楽しめる。クワイエットフロアは、通常の図書館のような環境で、サイレントフロアは静寂に包まれた空間だ。それぞれのスタイルに合わせてフロアを選べるようになっている。こうしたホスピタリティの充実も学生の満足や修学意欲を高め、学力向上につながっている。
格付会社が改革を高評価
1992年に204万人だった18歳人口は、2016年には119万人とほぼ半減、31年には99万人と100万人を割り込むと予想されるなど、大学経営を取り巻く環境は厳しさを増している。国は、学校法人に中期計画策定とガバナンスの強化を定めた「私立学校法改正」を20年4月から施行し、学校経営にも民間企業と同じような経営感覚を求める。優秀な人材を育てるには質の高い教育とそれを支える安定した経営基盤が不可欠だということである。
FITは、すでに20年以上前から中期経営計画(マスタープラン)と年度行動計画(アクションプログラム)を策定し、内外の関係者に情報を公開、実行と改善を繰り返してきた。その継続した改革がFITの躍進を支えている原動力となっている。経営・財務の安定性については、格付投資情報センターのR&Iが9年連続「A」(2018年度は方向性が安定からポジティブに変更)、JCRが6年連続で「A+」と高く評価し、改革の正しさを証明している。
企業からの期待も大きい。毎年3月、8日間にわたって学内のアリーナで企業説明会を開催するが、全国から880社が説明会に参加、そこで参加者の6~7割の内定が決まるというから、企業がいかにFITの学生を求めているかがうかがえる。
「すべては学生生徒のために」を掲げ、教員職員が一体となって進めてきた改革を参考にしようと視察も増えているようだ。自己改革を続けるFITの躍進はさらに加速するだろう。
<COMPANY INFORMATION>
学 長:下村 輝夫
所在地:福岡市東区和白東3-30-1
創 設:1954年4月
TEL:092-606-3131
URL:https://www.fit.ac.jp関連キーワード
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