2024年11月22日( 金 )

今国会最大焦点日米FTA承認を黙認した野党

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「革新勢力」の総結集を図ることが重要だと訴えた12月4日付の記事を紹介する。


国会議事堂

 臨時国会最大の焦点である日米FTA(自由貿易協定)批准案が参議院本会議で可決され、承認された。安倍自公の与党が議会多数を握っており、もとより野党が批准案成立を阻止することは容易でない。しかし、日本の主権者の命と健康。そして暮らしに重大な影響を与える協定である。十分な審議を行うことが必要であった。

 野党はこの臨時国会での協定批准を阻止することが不可能ではなかったと思われる。「桜を見る会」に関する安倍首相の疑惑が浮上し、安倍首相に対して国会での説明責任を果たすことを求めることができたはずだからだ。

 安倍首相は疑惑を持たれた議員は、内閣の一員であってもなくても、与党と野党の区別なく、しっかりと説明責任を果たすことが求められると繰り返してきた。その安倍首相が自分自身に重大な疑惑をかけられたのである。選挙区の有権者に対する利益供与、飲食の饗応は公職選挙法に抵触する違法行為である。政治団体が収支報告を怠れば虚偽記載や不記載となり、政治資金規正法違反となる。首相辞任は無論のこと、議員辞職や場合によっては逮捕、起訴に至る可能性のある重大事案である。

 当然のことながら、野党は安倍首相が出席する予算委員会での集中審議を求めるべきだった。与党がこれに応じなければ、すべての審議に応じないとの強い姿勢で対応するべきだった。

 与党は野党要求を無視して与党単独で審議を進めるかもしれない。しかし、そのとき、主権者の批判が向かうのは野党陣営ではなく与党陣営ということになる。とりわけ、自民党のトップとして国会での審議の場設定を阻止する安倍首相に批判が向かうことは当然のことだ。

 野党が審議を拒否するなかで日米FTA批准案を与党単独で議決し、承認した場合、主権者全体に重大な影響を与える協定を、野党の審議拒否のなかで採決強行した与党に対して極めて強い批判が生じることは間違いない。

 議会の少数勢力が議会審議において影響力を発揮するための手法はさまざまにある。審議拒否はその手法の1つであって、一概に否定されるべきものでない。

 野党がこのような手法を駆使しない限り、与党の横暴を抑制できない場合には、野党は効果的に抵抗の手法を活用すべきだろう。

 ところが、議会野党勢力の中核を占める立憲民主党と国民民主党は十分な抵抗を示さなかった。今国会での最重要議題である日米FTAが会期内に承認されるよう、最大の協力をしたと言っても過言ではない。この日米FTAに重大な問題がある。そもそも、日米FTAは安倍首相の国会答弁と完全に矛盾する存在である。

 安倍首相は国会で「日米FTA交渉には応じない」ことを繰り返し表明してきた。ところが、米国のトランプ大統領から指令を受けると、一切の抵抗を示さずに日米FTA交渉に応じた。

 野党勢力は、まず、過去の安倍首相の国会答弁との整合性を追及するべきだった。この問題は、2016年末に国会で大論議のあったTPP12承認案審議の延長線上にある。

※続きは12月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「日本政治を刷新するための政策連合」で。


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