経産省が「健康投資管理会計ガイドライン」作成へ~“健康投資”を見える化し、効果の分析・評価を可能に(前)
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経済産業省が公表した11月1日現在の健康経営優良法人の認定企業は、大規模法人が817社、中小規模法人が2,501社となった。年々増加はしているが、目標には程遠い状況にある。企業の半数は健康経営を知らない現実がある。そんななか、経産省は健康投資の見える化を図ろうと、新たな政策に取り組み始めた。
健康経営の認知度52%が「まったく知らない」
健康経営は、今や日本だけではなく世界規模でその必要性が指摘されている。2017年11月にワシントンD.Cで開催された日米経済協議会では、ヘルスケア問題が議題にあがり、両国でHralth and Productivity Management(健康経営)を推進することが確認された。
周知の通り、日本は超高齢社会に突入し、人口構造は逆ピラミッド型となっている。人口構造を短期間で変えることはできないが、各世代の健康度を変えることは可能だ。現役世代が元気になれば生産性は上がり、高齢者が元気になれば就業機会が増えて社会活動に参加する人が増える。このように国民が健康になることで生産性を上げ、経済を活性化させることが健康経営の目的である。
だが、その目的や意義を中小企業に浸透させることは容易ではない。経産省が2017年12月に、中小企業1万2,000社を対象に実施した「健康経営に関する認知度調査」(有効回答数3,476社、回答率29%)によれば、健康経営について「まったく知らなかった」と回答したのは52%と、ほぼ半数の企業が認知していないことがわかった。
健康経営という言葉とその意味について「知っている」は15%、聞いたことはあるが「内容は知らない」は32%。健康経営という言葉を「知っている」企業1,616社にその情報源を聞いたところ、最も多かったのは「テレビや新聞等のニュース」で659社。以下、「医療保険者からの情報」391社、「商工会議所からの情報」265社などが続いた。
一方、現在(調査時点)健康経営に取り組んでいる企業は約2割で、約7割が「取り組んでいない」と回答。現状は取り組んでいないが、「今後取り組みたい」との意向を持つ企業は5割にのぼった。
経産省ヘルスケア産業課の西川和見課長は、一昨年11月に都内で開かれた健康経営セミナーで講演し、「地方にいくと、『健康経営とは何ですか』という質問を受けることがある。健康経営についてよく知らない企業、関心があってもやり方がわからない企業など、認知度、実践度に即した普及策を講じていく必要がある」と述べた。
いくら経産省が「健康経営はコストではなく投資である」と叫んでも、資金力に余裕のない中小企業の経営者にとっては、「健康づくりは従業員自らの責任で自己管理するもの」との意識が根強く、会社を挙げて取り組もうという機運は高まらない。
(つづく)
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