2024年12月05日( 木 )

豊洲市場における設計偽装 政商・日建設計(1)

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 NetIBNewsでは、1月8日に「福岡市東区の分譲マンションが傾斜 販売業者の対応に憤る住人」という記事を発信。同問題について関心をもたれた方も多いと思われる。このマンションでは、建物を支える役割の杭が岩盤まで届いていないことが確認され、現在詳細な調査が進められている。

 同マンションは竣工から2年も経過しない時期に多数のクラック(ひび割れ)が発生。建物の傾斜に起因するのか、玄関ドアの枠が変形し、開閉しづらくドアを交換せざるを得なかった部屋も数件に上る。

 現実にこのような不具合を突き付けられても、分譲会社のJR九州や施工会社の若築建設は、「不具合は主要構造部分に起因するものではない」「不具合が主要構造部分に影響を与えることはない」「建物の傾斜の原因は特定できない」「今後原因追究は行わない」などと区分所有者を突き放す回答をし、さらに、「引き渡し後20年の除斥期間を過ぎている」(同マンションは1995年竣工)と主張し、不誠実な対応を続けた。協議は決裂し、2018年5月、管理組合は調停を申し立てたが、1年後の2019年5月、調停は不成立となった。

 マンションの区分所有者からは「当時は人気物件を引き当てたと喜んでいた。販売会社の看板から品質に間違いはない。資産価値も高いはずだと信用していたのに」と落胆した声も聞かれる。

 福岡では、同マンションがJR九州の分譲であることを知る市民は多く、同マンションの現状がテレビで取り上げられた後は、市民の間でもJR九州の不誠実な対応が話題となっている。

 公共交通機関を経営する鉄道会社であるJR九州は福岡七社会のメンバーであり、誰もが認知している企業である。公共性の高い優良企業であるはずのJR九州がマンション購入者に対し誠意の欠片もない対応を続けていることを世間が許すのであろうか。

 九州の鉄道においてJR九州のライバルはおらず、マンション販売においてもバブル期に存在した多くのデベロッパーが姿を消し、地場の販売会社は西日本鉄道など数社に限られている。このような背景があるので、JR九州はマンション区分所有者側に対して強気な態度を続けているのではないだろうか。

東京都豊洲市場においても杭が岩盤に届いていないことが発覚!

 福岡市東区の傾斜したマンションと同様、杭が岩盤に届いていないという疑惑が持ち上がっているのが、東京都の豊洲市場7街区の水産卸売場棟である。日刊ゲンダイが1月14日付けで報じた記事によれば、柱の両側の壁が柱を中心に回転扉のようにずれており、「今回のような壁の亀裂は初めて見た。これまでもあちこちの壁や床面でヒビ割れが生じ、原因は地盤沈下だと判明済み。今回も地盤沈下が原因か、と噂になっている」という市場関係者の話を伝えている。

 問題となっている7街区の支持層(深さ40m程度)は、台地である5街区から谷となっている6街区へと流れている途中にあり、複雑な形状となっているとのことである。

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 2018年8月にも水産卸売場棟が建つ7街区敷地内の駐車場棟で一部の杭が固い地盤に届いていない疑惑が指摘されていた。

 支持層の深さが複雑な上に、杭施工の際に基準点の高さを500mmも間違い、高止まりした500mm分をカットしたことを、ゼネコンの熊谷組も東京都も認めている。(熊谷組のホームページでは2018年8月20日付で「当該工事で施工した114本の杭のうち、48本にについて杭先端位置を500mm高く施工してしまった」と記載)

(つづく)
【桑野 健介】

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