2024年11月25日( 月 )

常に後手に回る政策対応が日本崩壊の主因

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、政治の主人公である主権者が行動しなければ、悪政も暴政も存続し続けると訴えた1月25日付の記事を紹介する。


 コロナウィルスによる新型肺炎の感染が急拡大している。2002年から2003年にかけて感染が拡大したSARS(新型肺炎の重症急性呼吸器症候群)は、最初の患者が確認されてから収束するまでに8カ月の時間を要した。今回の感染拡大はSARSの10倍以上との見解も示されており、感染の収束に要する時間が長期化する可能性がある。

 中国の旧正月にあたる春節の休暇が1月24日から1月30日である。この期間に膨大な数の中国人が海外に旅行する。2019年には前年比12.5%増の631万人が海外に出かけている。

 中国では新型肺炎の感染の発生地と見られ、感染拡大が確認されている武漢市を封鎖し、域外への人の移動を禁止した。しかし、すでに感染は武漢外に広がっており、感染拡大を遮断するのは難しい状況と見られる。

 中国の大手オンライン旅行会社Trip.comの統計によると、中国周辺国への海外旅行では、日本が人気トップになっているとのことだ。

 人気ランキングでは日本に次いで タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジア、スリランカ、インドという順で人気があり、ここ2,3年変動がないとのこと。

 中国各地から多数の中国人が日本を訪れることが予想される。日本での水際対策は極めて緩い。新型肺炎では発熱などの症状が観察されずに重症化する事例も伝えられている。

 日本で感染が拡大するリスクは低くない。新型肺炎の感染が東京五輪の時期においても残存する可能性もある。

 SARSの事例で感染収束までに8カ月の時間を要したことを踏まえると、7月から9月にかけて、感染リスクが残存する可能性を否定できない。

 もとより、日本で五輪を開催する必然性はない。フクシマ復興の言葉が使われるが、原発事故の被災者に対する支援を打ち切って五輪に巨額の公費を投入することにフクシマ原発事故の被災者が賛同するわけがない。

 フクシマ原発事故が発生した日に発令された原子力緊急事態宣言はいまなお撤回されていない。一般公衆の年間被ばく量上限1ミリシーベルトの法定事項を排除して、20ミリシーベルトの年間被ばく量を容認する「緊急事態」の運用が継続されている。

フクシマ事故と東京オリンピック
フクシマ事故と東京オリンピック

 累積被ばく線量が100ミリシーベルトに達すれば、確率的にがん死亡リスクが0.5%上昇するとの科学的知見も確認されている。

 人口100万人で5,000人ががんで死亡するリスクを生み出す放射線被ばくを容認する国の施策は国による大量虐殺(ジェノサイド)と表現するほかない。

 フクシマ原発事故被災者を大量虐殺する放射線被ばくを強要しながら「復興五輪」の言葉を用いるのはいささか不適切である。

 小出裕章氏は
『フクシマ事故と東京オリンピック【7カ国語対応】』
“The disaster in Fukushima and the 2020 Tokyo Olympics”
(小出裕章著、径書房)

を刊行されて、東京五輪の中止決定を呼びかけている。

※続きは1月25日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「金融市場のリスクが拡大している」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

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