「建物は人がつくるもの」人を育て、技術を磨き続ける(前)
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照栄建設(株) 代表取締役社長 冨永 一幹 氏
照栄建設(株)は自前での設計・施工技術を磨くことにこだわり、地場でトップクラスのゼネコンとして高い競争力を維持している。建築のみならずまちづくりにも高い意識をもち、福岡のまちの発展にも大いに貢献してきた。この数年、建築業界に吹いた追い風のなかで財務を立て直し、10年、20年先を見据えて、同社の理念に基づいた教育を行っている。同社代表の冨永氏に今後の展望について話をうかがった。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役社長 児玉 直)
照栄建設の理念と強み
――今後の展望につきまして、請負を超えたビジネスの展開というものをこれまでも考えてこられたと思いますが、今後の持続のために御社として概念定義を新たに行う時期なのでしょうか。
冨永氏(以下、冨永) そうですね。教育、とくに各部門のトップの教育が必要です。後継者も育成する必要があります。社長がどれだけ優秀でも、よい部下がいないとやっていけないですよね。
ちょうど財務が改善した後でもあり、教育をする余裕もできています。現在は教育、後継者を育成すべき時期であり、社員のほうでも教育を求めていると認識しています。
――施工技術面に関してはいかがですか?
冨永 施工技術も磨いていかないといけません。施工技術において同業者の追随を許さないレベルにまで引き上げていくというのは、企業として当然のことだと思います。
私は建物を建設することを通して、社会に貢献していくという意識をもつことが必要だと思っていますし、社員にも同じ意識をもってほしいと話しています。また、そのような意識から公共事業も行っています。公共事業に参画するには技術を磨くことが必要です。特殊なものも含め、どんな物件でも建設できるようにしないといけないと思っています。
――御社は、地域のプロジェクトにおいて建設の仕事を提案し、受注するという次元にとどまらないと思います。また、その建設するまちにフィットしたものをという概念が見受けられます。
冨永 建設にあたっては、その概念を規定することが大事であり、その地域にフィットした、相応しいテナントをと考えなければいけないと思っています。意識しているのは、地域のまちをつくっていくということです。当社のみが利益を上げるというかたちではなく、建物を通して地域に貢献していていくことが必要であると思っています。
地主さんからは病院は長く拠点を構えてくれるので病院をもってきてはどうか、医療モールをつくってはどうかという提案をよくいただきますが、市場調査を行うとともに、医師の意見も聞きながら進めています。
――コンパクトシティの建設ということであれば、地場のゼネコンが優位であるかと思います。いろいろな専門のスタッフを集めてきてできると思います。
冨永 建物の値段がわかるというのはすごいことです。値段がわからないと計画できず、建てられないわけです。その経験の蓄積は大きいですね。
――天神の再開発が中央のスーパーゼネコンの設計で占められており、地場の企業が関わっていけないのは本当に残念ですね。
冨永 それについては残念ではあるのですが、仕方ないと思っています。自分たちは天神再開発の周辺の事業に携わるということになってしまいますが、それでよいと思っています。地場企業は隙間産業だと思っています。福岡空港は良いですね。何といっても日本で数カ所しかない黒字空港です。当社としても建設工事にできれば参画したいと思っています。
(つづく)
【文・構成:茅野 雅弘】<プロフィール>
冨永 一幹(とみなが・かずもと)
1969年6月14日生まれ。福岡県春日市出身。福岡大学大学院人文科学研究科教育臨床心理学専攻修士課程修了。2005年4月に照栄建設(株)入社。取締役社長室長、総務部長を経て17年8月1日に代表取締役社長に就任。<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨永 一幹
所在地:福岡市南区向新町2-5-16
設 立:1972年6月
資本金:7,000万円
売上高:(19/5)142億7,847万円法人名
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