CTF国際大会第1位の栄冠を手にしたのは日本チーム!(前)
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昨年末の12月21日(土)と22日(日)の2日間、秋葉原を会場(AKIHABARA SQUARE & 秋葉原コンベンションホール)にして「SECCON 2019」(主催:SECCON実行委員会/(特非)日本ネットワークセキュリティ協会)が開催された。会場では日本最大規模のCTF大会「SECCON2019決勝大会」、そして各種のワークショップ、カンファレンス、展示などが行われた。昨年(「新生SECCON~国際大会で第1位-第3位を日本勢が独占!(前)」)に続いて、SECCON実行委員長を務めた花田智洋氏に大会の総括、そして今後の展望を聞いた。
SECCON実行委員長 花田 智洋 氏
来場者は、昨年に続いて1,000人を超え家族連れも増えた
――委員長就任2年目のSECCON2019が無事終了しました。現在の率直な感想をお聞かせください。
花田智洋氏(以下、花田) 北千住(東京電機大学)から秋葉原に会場を移し、カンファレンス、ワークショップ、展示の規模を拡大しての2回目のSECCONでした。CTF大会に関しては、国際大会、国内大会とも2日間実施、さらに国際/国内それぞれ別環境を用意して同じ内容の問題を提供するという試みも行われました。
また、今まではサーバーを会場に持ち込み運営していたのですが、今回は協賛いただいている企業のクラウド環境で、会場ではネットワークに接続する機器だけで対応するというチャレンジも行いました。率直な感想ですが、カンファレンス、ワークショップ、展示はいずれも好評をいただき、来場者も、昨年に続いて1,000人を超え、家族連れも増え、満足いただけたものと感じています。
一方、SECCON「CTF(Capture The Flag)」(情報セキュリティのスキルを用いて、課題のなかから隠された答えとなるFlagを見つけ出し、得点を稼ぐ競技)に関しては、終了後のアンケート、ツイッター、ブログなどのSNS系コメントを含めて厳しいご意見をいただきました。
基本的に、SECCON CTFとは情報セキュリティの知識を身につけたい人、学んだ知識やスキルをいかしたい人を中心に、学生からIT技術者まで、幅広い層を対象とした、人気のあるコンテストです。
しかし、CTFは世界中で毎週のように行われており、その出題内容が、世界トップレベルのチームを満足させることができるかどうかも問われています。昨日は「SECCON2019」総括の関係者会合が行われました。午後6時から開始し、部屋を出たのは10時15分という熱論が続きました。約4時間のうち、2時間30分は、今回の反省を踏まえて、「2020年以降のCTFのあり方」という課題に時間を費やしました。
新たに若手有志で新・CTFワーキンググループを立ち上げた
――4時間とはなかなかすごいですね。どのような方向性が打ち出されたのでしょうか。
花田 大前提として、SECCONはボランティアベースの組織です。従ってそこに参集するスタッフの皆さんは、技術的な面も含めて、面白く、チャレンジングな企画をやりたいという気持ちが大変強くあります。また、SECCONもそのような人たちを最大限支援できる組織、コミュニティでありたいと思っています。そのことを念頭に置き、昨日はカンファレンス、ワークショップ、展示の総括、CTFの総括、コスト面などそれ以外のことも幅広く話し合われました。
まずCTFですが、今回に限らず、苦しいスケジュール調整を行い、準備する側の人員体制もパワーも大きく不足していたことは否めません。理想的には、予選(10月実施)対応プロジェクトと決勝(12月)対応プロジェクトとを分けて走らせる必要もあります。しかし、問題を作成できる人材が限られ、なかなか思うようにいきませんでした。
SECCONは昨年で7年目を迎えたわけですが、スタッフの皆さんは、それぞれの所属団体で、従来にも増して重要な役職に就き、多忙になり、SECCON に多くの時間やパワーを割くことができなくなってきたことも事実です。しかし、その環境下でもCTFは必ずやるという暗黙の了解のもとに進んできました。今回、予選の問題作成は昨年度の国際大会優勝チーム(国際大会の出場権は、前年優勝チームがオンライン予選の作問協力することで獲得できます)「TSG」さんにお手伝いいただきました。TSGさんの作問、運営のサポート体制はとても評判がよかったです。
昨日の話では、究極的には、SECCONでCTFを継続すべきかどうかまで話がおよびました。
結論として、SECCON2020でCTFを開催する方針は決まりました。しかし、現時点ではその詳細は決まっていません。決まっているのは、従来のSECCON CTFの延長線上にない、若手有志を中心とした新・CTFワーキンググループを立ち上げ、世界のトッププレイヤーが挑戦したくなるような内容を実現するというものです。
(つづく)
【金木 亮憲】<プロフィール>
花田 智洋(はなだ・ともひろ)
千葉県生まれ。大学院卒業後、大手ITベンダーに勤務し、銀行基幹系システムの開発にプロジェクトマネージャーとして携わる。かたわら、本業以外の活動として九州で情報セキュリティコミュニティを立ち上げ、『ばりかた勉強会』やイベントなどを主催。2017年からは国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の主任研究技術員として、ナショナルサイバートレーニングセンター3大事業のCYDER,SecHack365, CYDERANGE開発などに携わる。2018年3月SECCON実行委員長に就任。関連記事
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