2024年11月24日( 日 )

拡大する九州のベトナム人コミュニティ 九州とベトナムの経済・人的交流の今後(後)

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ベトナム総領事 ヴー・ビン 氏

 就業、留学のため福岡県に滞在するベトナム人が急激に増えている。技能実習生などの労働者、留学生いずれも増加しており、福岡市のベトナム人は数年中には中国人につぐ2位になる勢いだ。在福岡総領事館が開館した2009年から10年経ち、九州におけるベトナムの影響力は増している。その影響と今後の両国関係について、福岡勤務を希望されて19年にベトナム総領事に就任したヴー・ビン氏にお話をうかがった。

九州―ベトナムの経済関係

 ――九州の企業のベトナムへの投資に関する状況はどうですか?また関心のある日本企業に相談先を紹介してもらうなど支援をされていますか?

 ヴー 海外投資について、ベトナム含め東南アジアへの移転が進んでいることは耳にされているかと思います。ベトナムと日本との間には共通の利益があり、また高度な信頼があります。ベトナム市場の魅力について、日本の関係機関、とくにマスメディアに取り上げていただき、日本人にもっと知っていただけるよう願っております。

 総領事館の重要な機能・役割の1つは経済面の協力がさらに発展するよう支援することと便宜を図ることであり、日本企業がベトナムとの経済関係を構築できるよう支援しております。ベトナムへの投資などに関心のある企業がありましたら、ぜひ意見交換を行う機会を設けたいと思います。また、もし貴社の顧客にも関心をもつ企業があるようでしたら、投資の説明会の企画をお願いできれば幸いです。

 ――九州各県の視察の際にベトナム企業の経営者を連れて行っているとのことですが、ベトナム企業の九州に対する評価はどうでしょうか?

 ヴー ベトナムの企業も福岡・九州に興味を示しています。すでにベトナムの企業数社がこちらで投資をしています。また、長年こちらに住んでいるベトナム人の間でも何名か起業しようという者が出てきています。

 ベトナム企業の海外への投資について話しますと、代表的なものではベトナム航空(同国のナショナル・フラッグ・キャリア)が最近増便しており、これからも福岡―ベトナム間の便数を増やす計画があります。情報通信産業で影響力のある有名な企業であるFPTコーポレーション(同国IT最大手、福岡に支店)、ベトテル(同国移動体通信事業最大手)、ビングループ(同国最大の民間企業、コングロマリット)、ペトロベトナム(同国石油最大手)などがベトナム国内のみならず世界中に進出しています。ビングループは米国市場で自動車(VinFast)を販売しようと計画しています。

地域との関係深化

ベトナムフェスティバル福岡2019
ベトナムフェスティバル福岡2019

 ヴー もちろん経済的な面に限らず、文化や社会や技術などの面でも交流を増やしたいです。お互いに理解を深めるなかで、信頼関係も深まっていくかと思います。文化交流は政治的関係も後押しします。政治的関係では、自治体などの関係機関の指導者、要人との往来をとても重視しています。九州の各地に行き、各地の指導者と会って話す機会をもつようにしています。福岡の指導者とは頻繁に会っておりますし、長崎には6回、熊本には4回、大分には3回行き、すべての県に行っています。今後、もっと増やして各地との連携、協力を進めていきたいと考えています。

 また、総領事館は各地域のベトナム人コミュニティの活動を支援しています。総領事館の支援の下、先日、在福岡ベトナム人協会が発足しました。今後、地域の活動に貢献してくれるものと期待しております。同協会が中心となって、2020年1月12日にベトナムの旧正月(テト)のお祭りのイベントを福岡市で実施(総領事館との共催)する予定です。

 今回の実行委員会は、ベトナム人、日本に帰化した元ベトナム人、九州ベトナム友好協会の日本人などで構成されていますが、2019年5月に福岡で初めて実施したベトナムフェスティバル(福岡2019)の実行委員会よりも大規模なものとなっています。この機会に、たくさんの日本人に知ってもらって、参加してもらえればと願っております。

(了)
【茅野 雅弘】

<プロフィール>
ヴー・ビン(Mr. Vu Binh)

 1961年生まれ。駐米国ベトナム大使館参事官、ベトナム外務省情報文化局副局長、駐ギリシャベトナム特命全権大使、ベトナム外務省文化外交ユネスコ局副局長などを歴任。「生涯大使」外交称号受賞。2019年5月、駐福岡総領事に着任した。

(中)

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