シリーズ・コロナ革命(12)~平和ボケした高級官僚たちが日本を潰す
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行きあたりばったりの「コロナ対策」
2月29日付の朝日新聞朝刊で「首相独断、休校見切り発車」と報道されていた。そこから判明するのは安倍晋三首相のリーダーシップの危うさである。今までは首相官邸のブレーンたちの意見具申をバランス良く取り入れながら国家経営の舵取りを行ってきた。
今回のコロナウイルスの非常事態対策には行きあたりばったり感だけが目立つのである。要は安倍首相の脳味噌は空っぽということだ。「取りあえず小中高の休校でコロナウイルス拡大を阻止」という決断だけが先行したのである。
(1)まず「2週間の休校で危機回避宣言ができるのか」という構想がまるでない
(2)休校措置をとった場合の学校現場でのトラブル対策を検討した節がまるでない
(3)家庭で子どもを放り出した際の問題点の対策がゼロ。休校宣言を実行するにあたってリスクマネジメントプロセス対策案が皆無、ということだ。表現を替えれば良いところの資産家の坊ちゃんが「あーしたい、こうしたい」と駄々をこねたら、周囲の連中が気を配って段取りしてくれる光景と一緒ということだ。安倍首相のコロナウイルス対策への批判が集中したため、「批判されっぱなしではプライドが許さない」と実績づくりにあせったかどうかは不明だが、問題なのは自分の誇り・私欲で政策を決定する傾向があることだ。国会答弁でも役人が作成した原稿の棒読み。「私、安倍が国難を救うためにコロナウイルス撲滅に全身全霊で立ち向かう」という意思表明もない。もともとこの人からは「日本国家をどうするのか」という使命感の欠片も感じ取れない。
「安倍首相、忖度という言葉に酔わないで!」。役人たちは決して貴方を尊敬して忖度しているのではないのだ。役人1人ひとりが保身のために計算して、うまく立ち振る舞っているのに過ぎず、打算の塊という習性を理解することが重要だ。こんな連中に囲まれてコロナウイルス蔓延の非常事態打開策が生まれてくるはずもない。
“経済に無知な安倍さん”と後世に名が残る
「消費税10%導入延期」を提案していた専門家たちが大勢いた。彼らの政治的な立場は右・左関係なかった。共通しているのは「現在の景気は後退局面にあるからタイミングが悪い」ということであった。安倍首相の手元には捏造された経済動向が届いていたのだろう。本人が理解できたわけではない。側近の「経済は順調に伸びていますから、消費税を増税しても想定内で支障な面は抑えきれます」とするレクチャーを信じて断行した。
ところが政府発表によると19年10~12月四半期の経済成長率は年率マイナス6.3%となった。安倍首相自身は「想定内」とあまり気に留めていなかったのではないだろうか。
ところが年が明けて武漢においてコロナウイルスの流行が叫ばれ出した。武漢は一気に移動が制限され、都市封鎖がなされた。ここから渡航規制が始まり、飛行機の大幅減便。結果、福岡でも東京でも観光客に接する機会が減少し、百貨店でも対前年同月比で2ケタ以上のマイナスの落ち込みとなっている。
2月を過ぎて3月になっても自粛ムードは続き、政策での規制が絡んで経済活動は精彩を欠いた。旅行会社などは事業ストップまで追い込まれている。この流れから予想するに20年1~3月四半期の経済成長率はこれまたマイナス4%を超えるとみられる。現時点でコロナウイルス消息宣言が4月に発されることは不可能である。その経済活動の低迷が5月まで続くとなると、3期四半期連続のマイナス成長率という前代未聞の経済クライシスを迎える。
会社倒産、廃業続出は間違いない。大手の企業も人員整理、自宅待機策を打つ。そうなると雇用逼迫状況が軟化する流れとなる。日本、世界経済はどうなるのか?株価暴落は免れず、日本市場は2万円を大幅に下回るであろう。「円高株安」という局面に突入する。トランプ大統領の「自国優先政策」が常識化して経済活動のブロックが進む。さらに深刻なのはリーマン・ショック当時は中国が世界の救世主となったが、その役を担う存在がいないことである。
日本国内を俯瞰すると(1)高齢化と人口減、(2)ベンチャー企業の動きの鈍化、(3)国民の長閑さなどが相まってさらに経済体力を弱体化させていく。おそらく銀行数も半減して「銀行封鎖」など国民を動揺させる可能性が高まることにもなりかねない。大激変、大騒動が煮詰まってくると非常識の「消費税撤廃」が常識になることも考えられる。次回の総選挙の焦点は「消費税を5%に戻す」と公約を掲げた勢力が必ず勝つだろう。
「消費税を5%に戻す」が達成される前から「アベノミクスって何だったの?」「我々の生活を打ち壊してしまった元凶だ」、はては「安倍さんって外交もとんちんかんで何もできなかったが、経済に関してもまったく無知だったね」と強烈な批判の声が高まるのは決定事項となる。黒田東彦氏を終始、日本銀行総裁に座らせた弊害が日銀の根幹を揺るがす事態となり、危機が頂点に達するだろう。経営者の方々は、そのくらいの危機を覚悟することから経営戦略を構築されることを助言したい。
非常識が常識化へ
2月26日夜、東京・汐留の電通本社の前をタクシーで通過した。「毎夜、電通の社員たちが群がってタクシーに手を振ってくれたのですが、今は誰1人いなかったでしょう。商売上がったりですわ」と嘆く。現在、電通は社員たちに自宅待機を命じている。要はテレワークで業務を遂行しているのである。
電通の経営陣も無能ではない。テレワークの業務生産性のテストを行っているのだろう。「業務に支障なし」となれば、一挙にこの方式を導入するであろう。そうなるとオフィスの面積を減らすことが可能である。大企業が「回れ右」の動きをすれば、今後のオフィステナント市場が先細りする傾向に陥る。そこから次へのビジネスモデルの検討が可能となる。コロナウイルス蔓延の渦中で「コロナ革命からどのようにビジネスチャンスをつかむか」と秘策を練る人は必ず勝利者になれるのだ。
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