2024年12月22日( 日 )

パンデミックとなった新型コロナウィルスの破壊力:トランプ大統領も危うい(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2020年3月13日付の記事を紹介する。


 最近まで「再選間違いなし」と思われてきたトランプ大統領の前途に暗雲が立ち込め始めた。新型コロナウィルスについて、トランプ大統領は「アメリカには世界最高の医療チームが健在だ。多少の感染者は出るかもしれないが、まったく問題ない」と豪語していた。ところが、カリフォルニア州、ワシントン州、テキサス州などで次々と感染者が発生。死者も相次いでいる。そして「トランプ・タワー」が聳えるニューヨークでも感染者が確認。

 とくに感染者の拡大が止まらないカリフォルニア州では、ついに「非常事態宣言」が発令された。その後も感染の勢いは衰えず、ハワイ州、メリーランド州、ニューヨーク州でも非常事態が宣言される事態になっている。トランプ大統領は「心配無用だ。軽症者が大半で、仕事場に通っているうちに改善するケースも多い。自分は心配していない。有権者とは握手もするし、キスもする」と火消しに躍起になっているようだが、そう簡単な話ではないだろう。

 マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツによれば、「今回のウィルスは100年に一度の強烈な病原菌で、感染者は1,000万人を超えるだろう」とのこと。世界保健機構(WHO)も3月11日、ついに「パンデミック」宣言を発した。そうした感染拡大の影響で、全米各地ではスポーツイベントはもちろん、IT関連の展示会や投資セミナーも次々に中止。トランプ大統領肝いりの3月14日からラスベガスで開催される予定だったアメリカとASEAN10カ国の首脳会談も延期となった。

 2月末に開催された共和党支持者の集まりであるCPAC(保守連盟)の大会にはトランプ大統領はじめ共和党の現職議員が多数参加していた。ところが、その会場から感染者が発生したため、クルーズ上院議員やゴーサー下院議員らは「自宅待機」の状況に追い込まれている。ただ、肝心のトランプ大統領は強気の姿勢を崩さず、「自分はウィルスのことがよくわかる。心配いらない。これからの集会にはどんどん参加する」と、医療関係者の発する注意信号を無視する構えのようだ。

 最も深刻なのはニューヨークの株式市場が過去最大の3500ポイントの下げ幅を記録したことである。投資家の間に景気の先行きに対する不安感が蔓延してきたわけだ。その後も株式市場は乱高下を繰り返し、大恐慌前夜のような雲行きだ。トランプ大統領の最大の強みは「史上空前の株価上昇を通じ、世界最強のアメリカ経済を実現した」と自画自賛してきたように、株式市況を押し上げたことである。こうした経済神話がもろくも崩れ始めたとなれば、再選戦略の見直しが必要になるだろう。

※続きは3月13日のメルマガ版「パンデミックとなった新型コロナウィルスの破壊力:トランプ大統領も危うい(前編)」で。


著者:浜田和幸
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(後編)

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