大腸内視鏡の進化、「AI内視鏡」の時代へ(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
2018年2月、CTで撮影した脳の画像を解析し、脳卒中の有無を判断する人工知能(AI)ソフトウェアが米国FDAによって医療機器として初めて承認を受けている。
AIソフトウェアは、従来の医療機器と違い、ソフトウェア(プログラム)単体が医療機器として承認されたもので、このような医療機器を「プログラム医療機器」と呼んでいる。
「プログラム医療機器」はX線やCTなどで撮影した画像をAIが解析し、病変の有無を判断するもので、熟練した画像解析の専門医と同等レベルの判断ができるようになったという。医者はAIの判断を参考に診断を行い、診断に対する責任は医者が負うことになる。
AIを利用した「プログラム医療機器」の分野は、米国とイスラエルがリードしている。今後医療機器にAIの利用が広がるのは間違いなさそうだ。
今回は医療機器のなかでも、内視鏡検査の際に、画像診断にAIが利用されるようになったことを中心に話を進めてみよう。大腸がんは進行が早く、罹患すると別の臓器に転移するガンと言われている。しかし、ポリープがガンに発展するまでには5年から10年という長い時間がかかる。まめに内視鏡でポリープの検査をしただけでも、大腸がんを未然に防ぐことができるようになる。
問題は内視鏡検査で見つけたポリープにはガンになる腫瘍性ポリープとガンに発展しない非腫瘍性ポリープが存在することだ。ところが、現在は医師がポリープを見て、腫瘍性なのかどうかを判断しているのだが、それがなかなか大変なようだ。実際の検査の際には、カメラも大腸の内壁も動いているのでリアルタイムでガンを発見することは相当難しいらしい。それに、肉眼で見分けにくい部位などがあったり、医者の腕の違いで、ガンを見逃していることが24%に上るという統計もある。それで、医者は内視鏡検査の時、「自分がガンを見逃すのではないか」という緊張感を常にもっているという。
もう1つの問題は、内視鏡検査をした後、画像を解析し、診断をするのだが、医者にとって画像解析の業務負担が大きくなっているという点である。
内視鏡は現在、世界的に普及しており、多くのところで検査に活用されている。内視鏡は1人あたり40枚~50枚の画像を撮影するという。これだけ内視鏡が一般的になると、医者にとって画像を解析する業務は相当しんど。そうかと言って、患者の命に係わる問題なので、いい加減な処理もできない業務のようだ。そのような状況下、内視鏡にAIの画像解析能力を組み合わせることによって、この問題を解決しようという動きがあるのは当然といえば当然のことだろう。内視鏡は、日本で開発された医療機器で、日本のオリンパスが世界トップシェアを誇っている。そのオリンパス社からAIを利用した内視鏡の画像解析をするソフトウェア製品、「エンドブレイン」が開発された。このプログラム医療機器は、2018年12月に日本政府の承認を受け、2019年1月から販売を開始している。しかし、超拡大内視鏡とセットとなっているため、価格が高価で、それほど普及はしていないようだ。
(つづく)
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