【コロナに負けない(20)】子どもたちの貧困解決のために~NPO法人わたしと僕の夢
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10年前から貧困家庭の子どもたちのための居場所をつくり、学習支援と食事を無償で提供する活動を行っているNPO法人わたしと僕の夢。同法人の代表・佐藤有里子氏は「シングルマザーが働ける場所をつくる」ことを目的に設立した人材総合サービス企業(株)キャリア・リードの代表も務める。近年、子どもの貧困問題がクローズアップされており、今回のコロナ問題がさらなる追い打ちをかける可能性もある。会社の経営もNPOの運営も厳しさを増しているというなか、佐藤氏はすでに次なる展開に向けた準備をスタートしているという。
――早速ですが、どのような活動を始めるのですか
佐藤有里子氏(以下、佐藤) 「生きることは食べること」だと考え、今年の秋からお米の販売を始めることにしました。米の備蓄倉庫を借りられたので、そこを拠点に活動していく予定です。
昨年はお米が不作だったのですが、これまでの活動で出会った方々の協力もあり、確保することができ、販売予定先も少しずつ増えてきています。販売予定のお米のなかに「母米」というブランドがあります。「母米」は栄養価の高いお米で「子どもたちに栄養豊富なお米を食べさせたい」というお母さん※たちの強い想いから販売することになりました。
お米の販売をすることが働く場所の確保につながります。将来的には、倉庫を発展させ、カット野菜の加工場としても利用していこうと考えています。また、お米を販売した収益でNPOの運営費を捻出していきたいとも思っています(「母米」の文字は、NPOの子どもが書いた)。――初めてのお米の販売で、入荷も販売も困難なことが多かったと思います。販売までこぎつけることができた理由は
佐藤 子どもたちは「国の宝」です。その子どもたちが貧困に陥っている現実を、大人である私たちが変えずに次世代に何を残せるというのでしょうか?
共感してくれるものの、実際に動いてくださる方は少なかったのですが、ようやく、ともに戦ってくれる仲間たちと出会え、心から感謝しています。何度もあきらめかけましたが、子どもたちや、お母さんたちの顔が頭に浮かび、支えになりました。私は脳幹出血によって4回倒れました。その都度、私を支えてくれた職員、社員には感謝しています。4回目に倒れ、退院した後、お母さんたちが忙しいにもかかわらず夜になると交代で看病にきてくれました。それこそ、泣きながら看病してくれたものです。ありがたかったですね。その恩返しもしたいし、子どもたちの貧困の根源であるお母さんたちの貧困問題を何とかして1つでも解決していきたいと考えています。それを解決しなければ、子どもの貧困問題は増える一方です。今後も頑張っていくつもりです。
――「お米」を取り扱おうと思ったきっかけは
佐藤 お母さんたちは、食べること自体に苦労した方が多いので、「食」に対しての思いが非常に強いのです。
うちに看病にきてくれるお母さんたちと、今後について話していると「農業」がしたいと思っていることを知りました。しかし、現時点ですぐに農業ができるかというと、土地もないし、経験も足りません。そこで、販売から始め、安定的な経営ができるようになったうえで、農業とのつながりができる「お米」をつくるという発想に至ったのです。将来的には、農業をしながら、新商品の開発、販売をすることを視野に入れています。そうすることで、農業における後継者不足問題の解決にもつながりますし、お母さんたちが働く場所の確保もできます。また国内の食料自給率を上げることにも貢献できます。もちろん所得アップも目指して、試行錯誤するでしょうが、「農業」で「シングルマザー」が「年収300万円稼ぐ」ことができるようにするのが目標です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、仕事のキャンセルが続き、非常に厳しくなってきているのも事実だと佐藤氏はいう。しかし、このような時期だからこそ、以前より温めていた構想を実現させ、次のステップを目指している佐藤氏の今後の活動に注目したい。
【井上 剛】
※キャリア・リードの職員で、私と僕の夢の子どもたちのお母さん^
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