九州地銀の2020年3月期の当期純利益(予想)を検証する (後)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀の株価推移表である。九州地銀18行のうち金融グループ傘下行は9行。単独行9行。単独行のうち、佐賀共栄銀行だけが未上場。
上場の内訳は、東証一部・福証に上場しているのは、ふくおかFG(福岡・熊本・親和・十八)、西日本FH(西日本シティ・長崎)、九州FG(肥後・鹿児島)、北九州銀行を傘下に置く山口FGの4金融グループと、単独行の大分銀行、宮崎銀行、佐賀銀行の3行含めて7つ。
一方、福証単独上場の銀行は筑邦銀行、福岡中央銀行、豊和銀行、宮崎太陽銀行、南日本銀行の5行となっている。~この表から見えるもの~
◆東証一部・福証上場の4月10日の株価を見ると、
・九州FGは451円。昨年12月30日比▲21円(-4.45%)と下落率が一番低い。
・次が宮崎銀行で2,316円。12月30日比▲416円(-15.23%)。
・北九州銀行を傘下に置く山口FGは581円。12月30日比▲163円(-21.91%)。
・大分銀行は2,049円。12月30日比▲734円(-26.37%)。
・西日本FHは624円。12月30日比▲233円(-27.19%)。
・ふくおかFGは1,429円。12月30日比▲676円(-32.11%)。金融グループでは一番の下落率。
・佐賀銀行は1,099円。12月30日比▲653円(-37.27%)となっており、東証一部上場のなかでは一番下落率が高い。
◆福証単独上場の4月10日の株価を見ると、
・筑邦銀行は10日の出来高がなく9日の株価は1,630円。12月30日比▲170円(-9.44%)で、下落率は一けた台で一番低い。
・次が10日の出来高がなく4月3日の株価が584円の豊和銀行で、12月30日比▲72円(-10.98%)。
・福岡中央銀行の株価は2,950円。12月30日比▲620円(-17.37%)。
・南日本銀行の株価は848円。12月30日比▲242円(-22.20%)。
・宮崎太陽銀行の株価は905円。12月30日比▲313円(-25.70%)。
◆鹿児島銀行を傘下に置く九州FGの12月末比の下落率は-4.45%。一方、地盤が同じ鹿児島の南日本銀行は-22.20%。宮崎銀行の下落率-15.23%に対して、宮崎太陽銀行は-25.70%。豊和銀行の株価は12月末比の下落率は-10.98%と低いものの、全体で見ると、福証単独上場の銀行株価は厳しい状況にあるのが読み取れる。【表2】を見ていただきたい。九州地銀(含むFG・FH)の2020年3月期の当期純利益(予想)の順位表(連結)である。福岡中央銀行、豊和銀行、佐賀共栄銀行の3行は非連結。
~この表から見えるもの~
◆20年3月期の当期純利益第1位はふくおかFGで、前期比+968億5,100万円の1,485億円 (前期比187.5%増)。増加要因は19年4月1日に経営統合した十八銀行の「負ののれん発生益」1,174億3,300万円の特別利益を計上したことによる。
・ただ、この特別利益を除いた20年3月期の当期純利益は前期比▲205億4,900万円の311億円(前期比-39.8%)と、大幅な減益を予想しているのがわかる。
◆2位は北九州銀行を傘下に置く山口FGで前期比+33億5,200万円の265億円(14.5%増)。
・3位は九州FGで、前期比+5億9,800万円の228億円(前期比2.7%増)。
・4位は西日本FHで前期比▲18億9,900万円の210億円(前期比▲8.3%)。
・5位は宮崎銀行で前期比▲ 21億2,900万円の76億円(前期比▲21.9%)。
・6位は大分銀行で前期比▲ 10億5,900万円の47億円(前期比▲18.4%)。
・7位は佐賀銀行で前期比▲ 6億3,600万円の20億円(前期比▲24.1%)。6位の大分銀行とは倍以上の開きがある。福岡県の経済圏と近接する佐賀銀行の収益環境は厳しい状況にあるようだ。
◆8位は2行。筑邦銀行は第一地銀。南日本銀行は第二地銀。10位から13位までは第二地銀であり、佐賀共栄銀行を除き、5行は福証に単独上場している。
・筑邦銀行は前期比▲1億3,500万円の7億円(前期比▲16.2%)。南日本銀行は前期比▲6,200万円の7億円(前期比▲8.1%)。
・10位は宮崎太陽銀行で前期比▲4億4,100万円の6億円(前期比▲42.4%)。
・11位は豊和銀行で前期比▲6億4,500万円の4.9億円(前期比▲56.8%)。
・12位は福岡中央銀行で前期比▲2,900万円の4.5億円(前期比▲6.1%)。
・13位は佐賀共栄銀行で前期比▲6,600万円の1.9億円(前期比▲25.8%)。<まとめ>
1位のふくおかFGから7位の佐賀銀行までは、東証一部(福証)上場で毎日出来高がある。しかし、福証単独上場している銀行は出来高が少なく売買がない日もあり、株価の動きは収益力と連動して腰が弱いように見える。20年3月期の当期純利益は何とか、黒字を確保するのではないだろうか。
新型コロナウイルスの収束が長引けば、九州地銀の数行は、21年3月期の当期純利益が赤字に転落する可能性は高いものと予想される。(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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