中台のマスク外交~中国がフランスにマスク寄贈と引き換えにファーウェイの5G設備導入を提案と報道
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中国、台湾がともに感染被害が深刻化している海外にマスクなど援助物資を寄贈しており、「マスク外交」の様相を呈している。
中国政府は120カ国と4つの国際機関にマスク、N95マスク、防護服、核酸検出試薬、呼吸器などを寄贈し、イタリアなど9カ国に医療チームを派遣している。地方政府も友好都市経由で50数カ国、企業が100数カ国と国際機関に医療物資を寄贈した(3月31日時点)。
台湾政府も4月に入ってから本格的に支援に乗り出した。4月1日、被害が深刻な米国、欧州各国および国交のある国に計1,000万枚を寄贈することを発表した。9日には第2弾として米国、欧州各国、ラテンアメリカ、カリブ海地域の各国、東南アジア、南アジア、オセアニアなどに600万枚を寄贈することを決定した。日本に対しては検討中という。
中国の企業では、とくにアリババとファーウェイが目立っており、アリババは欧州に200万枚、米国に100万枚、アジア24カ国(日本含む)に計700万枚以上寄贈している。ファーウェイはカナダに100万枚寄贈し、今後600万枚の寄贈を予定している。ほか、欧州各国に数百万枚、うちオランダに80万枚を寄贈している。
企業が企業市民としての意識から社会的責任をはたすため、あるいはイメージ向上のため寄贈するのはよくあることだが、他方、マスク寄贈に関して、中国があからさまな政治的ディールを行うとしたという報道もある。
米国メディアは、中国がフランスに対し、ファーウェイ社製の5G設備を導入することを条件にマスク10億枚の寄贈を提案したと報じている。フランス・マカロン大統領からのマスク提供の要望に対し、中国・習近平国家主席が提案したという。米国のマーク・グリーン下院議員(共和党)が米国メディアにこの件について話しているが、中国外交部、在米フランス大使館はこのやり取りを否定している。5G設備に関して、カナダ、オランダとも欧州各国と同様に、ファーウェイ社排除の方針を明確にしていない。カナダは、英国が米国からのファーウェイ社排除の要望を断り、参入を限定的に容認するのを決めたことを参考にするとしている。カナダは英国とともに米国と機密情報を共有する「ファイブアイズ」のメンバーである。オランダは6月に5G設備導入に関するオークションを予定している。
日本に対しては、アリババ、ファーウェイがそれぞれ100万枚、50万枚寄贈しているほか、日本法人をもつ大手企業では、Trip.comグループ(中国最大のオンライン旅行会社)が10万枚、シャオミ(スマホ出荷数世界4位)、OPPO(スマホ出荷数世界5位)、中国建設銀行(中国4大国有銀行)がそれぞれ5万枚寄贈している。
【茅野 雅弘】
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