パチンコメーカー、ホールと共倒れか
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新型コロナウイルスの感染拡大にともなう営業自粛要請を巡り、槍玉にあげられるパチンコホール。大阪府は休業しないホール名を「晒す」といった強い措置を講じ、各自治体もこれに同調した。ホール運営大手の(株)マルハンは、41都道府県305店舗(全317店舗)の休業を宣言。「キコーナ」運営のアンダーツリーグループのように、全店舗を休業させたホール運営業者も少なくない。
新型コロナウイルスの収束に見通しがつかない中、相次ぐホールの休業は、メーカーの動向にも影響を与えるものと考えられる。台の入替え進むも
2018年2月に施行された「改正風営法」によって、メーカーは新基準機の開発と販売を余儀なくされた。開発に関しては、一時期適合率の悪化が遊技ファンの間で話題となった。開発された台は、市場に流通させる前に改正風営法に即した性能か試験をする必要がある。その試験をパスした台の数が、改正風営法施行前に比べ少なくなったのである。
新基準への対応に四苦八苦し、ようやく試験をパスしても、旧基準機(射幸性の高い台)の稼働に力を入れるホール(旧基準機を好む遊技ファンが多いため)への販売は苦戦を強いられた。試験突破のハードル上昇と、需要が少ない新基準機。販売計画が狂い、業績予想の修正を強いられるメーカーが頻出した。
しかし、旧基準機から新基準機への入替え期限となる21年1月末が迫るにつれ、ホールもエンドユーザーである遊技ファンも、新基準機への適応を始めた。メーカー側の人気タイトルを採用した新基準機の中から、旧基準機に負けないヒット作も誕生。メーカーはやっと心置きなく、1兆6,000億円規模の入替え特需を享受できるはずだった。しかし、その矢先の新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴うホールの休業ラッシュ。再び「暗中模索状態」になってしまった。
別事業への注力
販売先であるホールが休業したことで、思うように営業活動が出来ないメーカー。台の支払期限の猶予を求める声もホール側から上がっており、苦しい状況が続く。こうした中、別事業への注力が奏功しているメーカーもある。
スロット「GOD」シリーズでお馴染みの、(株)ユニバーサルエンターテインメントはIR事業が好調。18年12月期の同事業の売上高は489億円。これが19年12月期にはVIPカジノエリアのオープンなどもあり、714億円となった。同社の売上高に占める割合も、遊技機事業を上回っている。20年12月期に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、カジノの営業を停止した影響を免れない。
(株)平和の19年3月期の業績は、売上高1,449億円中825億円がゴルフ事業によるもの。セガサミーホールディングス(株)も19年3月期の業績において、オンラインゲームの企画開発・運営(『マギアレコード魔法少女まどか☆マギカ外伝』など)を行うエンタテインメントコンテンツ事業が、遊技機事業を1,100億円超上回る2,196億円の売上高をあげている。
現状、緊急事態宣言は5月6日までとされているが、先行きは不透明だ。メーカーの中には、グループ会社を通じてホール向けに機械設置工事や内装工事を手がける企業もいるが、それもホールありきだ。市場縮小にともなうホールの統廃合にくわえ、(株)赤玉(愛知県、負債総額約37億円)など、コロナショックを一因として破産を選択するホールも出てきた。
メーカー側でも、今後統廃合が進む可能性がある。遊技機事業に代わる収益基盤の確保を進めておくのも、選択肢の一つだ。【代 源太朗】
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