2024年11月25日( 月 )

9月入学・新学期制をめぐる動向~高校生が始めた署名への賛同者が5,000人を突破

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 地方自治体では学校の休校を5月7日以降も継続する動きが続々と出てきている。新型コロナウイルスの収束の予測が立たないまま、休校を繰り返すのか。その中で学校の入学・新学期の開始時期を9月にずらすという提案が社会、国会において出てきている。

 4月1日には東京都立日比谷高校の学生が、“ずるずる”と休校の延長を繰り返すくらいなら、主要な諸外国と同じ9月入学にしては、という提言を行っている。大阪市の高校生2人が、ネット上で同じく9月入学を提言し、メリットとして海外の学校と足並みをそろえることに加え、学校生活を全うできること、受験に対する不安、混乱の解消などを挙げ、署名活動を行っている。4月28日午後3時時点で賛同者は5,000人を突破している。

 また、国民民主党が27日に開いた9月入学・新学期制に関するワーキングチームの初会合においても、学校休業の長期化、地域差への懸念などが表明されており、同党は今週、文部科学大臣に提言する予定にしている。日本維新の会も9月入学・新学期制の導入、学費の減免、オンライン学習などを盛り込んだ提言を発表した。

 文部科学省の担当部局に見解を問い合わせたところ、まずは萩生田光一文部科学大臣の24日の記者会見を参照してほしいとのことであり、以下、会見内容の一部を紹介する。

記者:「休校がゴールデンウィーク明けも長引く可能性がある中で、一部の先生や保護者から、世界標準でもある9月の学校始まり、これを求める声も上がっています。(略)今現在での文科省の見解をお聞かせください」

萩生田大臣:「ご指摘の9月の入学ですとか9月からの新学期等の声については、学校の臨時休業がさらに長期化する事態を想定した際の対応案の一つとして様々なところで声が上がっているというものは承知しています。(略)いずれにしても、教育行政の責任者として、あらゆることを想定しながら、しっかりと対応していきたいと考えています」と答えている。

 9月入学については政府の審議会、教育界で以前から行われてきた議論でもあり、文科省にとっては想定内の構想であるが、「現時点で検討していない」などの趣旨の答弁を行っていないということは、現実的な選択肢の1つとして検討し始めているのであろうか。今後の動向に引き続き着目したい。

【茅野 雅弘】

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