2024年12月24日( 火 )

コロナショックが直撃~九州経済の現状を検証する(後)

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 コロナショックが日本列島を直撃し、地域経済が大きなダメージを受けているなか、地域経済を支える地方銀行の決算発表が今週ピークを迎えている。

【表1】を見ていただきたい。九州地銀の20年3月期の決算公表日の推移表である。

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~この表から見えるもの~
◆5月11日(月)に20年3月期の決算を発表したのは大分銀行と南日本銀行の2行。
・12日(火)は)西日本FH(西日本シティ銀行・長崎銀行)と佐賀共栄銀行の3行。
・13日(水)は九州FG(肥後銀行・鹿児島銀行)。宮崎銀行。佐賀銀行。筑邦銀行の5行。
・14日(木)はふくおかFG(福岡銀行・熊本銀行・親和銀行・十八銀行)。宮崎太陽銀行の5行。

◆九州地銀18行のうち、14日までに公表したのは15行。北九州銀行(山口FG傘下行)、福岡中央銀行、豊和銀行の3行が未公表となっている。
・昨年トップで発表した北九州銀行だったが、山口FGの決算にゆとりがあるのか、それとも厳しい決算なのかは発表を待つことにしたい。

【表2】を見ていただきたい。決算発表を終えた15行および金融グループ3社の当期純利益順位表である。

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~この表から見えるもの~
◆九州地銀15行の20年3月期の当期純利益は前期比▲665億3,000万円の668億5,800万円(-49.9%)と、5割の大幅な減益となっている。
◆当期純利益1位は福岡銀行で、前期比▲312億1,000万円の190億9,800万円(前期比-62.0%)と大幅な減益となっている。
・2位は西日本シティ銀行で、前期比▲25億7,500万円の173億9,500万円(前期比-12.9%)。
・3位は鹿児島銀行で、前期比▲12億200万円の162億1,600万円(前期比-6.9%)。
・4位は肥後銀行で、前期比+3億6,500万円の128億6,000万円(前期比2.9%増)となっており、第一地銀10行のうち、唯一プラスとなっている。
・5位は宮崎銀行で、前期比▲26億400万円の71億2,500万円(前期比-26.8%)。
・6位は大分銀行で、前期比▲6億7,800万円の50億8,100万円(前期比-11.8%)。
・7位は佐賀銀行で、前期比▲1億9,500万円の24億4,100万円(前期比-7.4%)と、上位は第一地銀が占めている。

◆8位は宮崎太陽銀行。9位は筑邦銀行。10位は南日本銀行。11位は佐賀共栄銀行。12位は長崎銀行となっている。このうち、当期純利益が前期比プラスなのは宮崎太陽銀行と佐賀共栄銀行の2行。
◆13位は熊本銀行で、前期比▲56億9,100万円の▲19億2,600万円。
・14位は親和銀行で、前期比▲79億1,300万円の▲38億3,400万円。
・15位は十八銀行で、前期比▲147億5,800万円の▲106億4,800万円。3行ともふくおかFGの傘下行で、コロナショックの影響や十八銀行と親和銀行の合併のための経理処理によるものと見られる。

<まとめ>
 地銀の20年3月期におけるコロナショックの影響は2~3カ月にもかかわらず、地銀15行の当期純利益は5割減となっている。地域経済は今後さらに厳しくなり、取引先の倒産が頻発する事態も予想される。

 日銀のマイナス金利政策により厳しい経営が続くなか、コロナショックが直撃しており、九州地銀の21年3月期の決算はいかに黒字を確保するかが第一関門であり、まさに、「進むも地獄退くも地獄」の経営を余儀なくされることになりそうだ。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

(中)

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