2024年11月23日( 土 )

【BIS論壇No.321】検察官、マスク、コロナ問題

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 NetIB‐Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。今回は2020年5月16日付の記事を紹介。


1:安倍内閣の検察官定年延長問題はツイッターでの反対表明が800万人に達したという。5月15日には松尾邦弘・元検事総長ら検察OB有志が検察庁法改正案に対する反対意見書を法務省に提出。「検察人事への政治権力の介入を正当化し、政権の意にそわない動きを封じて検察の力を削ごうと意図している」さらに「黒川弘務・東京高検検事長の定年延長の閣議決定は違法だ」と断定。「これらの一連の動きは検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとするものであり、看過できない」と厳しく批判している。(朝日5月16日)安倍政権はこれまでにも内閣法制局人事にも介入し、集団的自衛権の解釈も変更した。行政の司法への介入が目に余る。
 上記の検察官定年延長問題に関してはこれまでの「森友、加計学園問題」「桜を見る会」などへの提訴を官邸に有利に運ぼうとの魂胆があるのではないかと危惧する見方が強い。

2:経産省出身の今井補佐官、佐伯秘書官が主導したとされる先の突然の小中学高校一斉休校指示、ほとんど効果のない性急な高額布マスクの庶民の血税466億円もの無駄使い。
 さらに妊婦用に配付したマスクに毛など異物が混入。しかも変色した不衛生なマスクの誤配。その返品整理にさらに8億円もの巨費をかけたことなど安倍官邸、経産省、厚生労働省の対応は常軌を逸している。返却された不良品のマスクの検査、差し替えは、そのような不良品を配布したメーカー、商社に負担させるべきものだ。それを我々の血税を8億円もかけて弁償するなど非常識極まる。
 不織布製で三重の大型マスクは現在一枚70~80円内外で街に出回っている。コロナウイルス予防にそれほど効果がないといわれる布製の小さい貧弱なアベノマスクは3倍の一枚200円と言われている。これも政府調達では当然行うべき公開入札を行わず、設立3年にも満たない無名の会社などから調達をしているのも極めて不明朗だ。これらの4社からの随契の理由と、その調達明細を安倍政権は公表すべきである。

3:コロナ問題に対する安部内閣の対応は世界の調査結果で最低とのことである。そもそももっとも重要なPCR検査が諸外国に比べ驚くほど少ない。OECD(経済協力開発機構)のなかでギリシアについで後ろから二番目という少なさである。国民皆保険で医療先進国と喧伝していた日本政府の信用はガタ落ちだ。厚労省のPCR検査も37.5度以上が4日間継続することを条件にするなど常識を逸している。この厳しい条件の撤廃に際して加藤厚労相はこの条件は目安であり、国民が「誤解」していたなどとうそぶいている。常識では考えられない対応だ。
 諸外国では日本国内のコロナ感染者を少なく誘導し、安倍内閣念願の2021年の東京オリンピックを実現する目的ではないかととくに英国やフランス、イタリアなどEU諸国で疑念をもたれているという。安倍内閣に世界に恥じない正直な王道の政治を期待するのは無理か。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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