バッシングを浴びる「ツタヤ図書館」に見る増田宗昭氏の仕事術(前)
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「ツタヤ図書館」が物議を醸している。大型書店TSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)(東京都渋谷区、増田宗昭社長)が指定管理者となって運営する公共図書館だ。従来の図書館像を大きく変えるツタヤ流の手法に批判が噴出。各地でツタヤ図書館建設の反対運動が起きた。だが増田氏は痛痒を感じないだろう。常識を破壊することが、彼の真骨頂であるからだ。
「成功率はめちゃくちゃ低い」と告白
ツタヤ図書館バッシングが過熱している最中の10月19日、増田宗昭氏はNHK番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演し、いかにも彼らしい型破りな仕事観を語った。
「ツタヤ図書館」で本の選び方や運営の仕方に批判が盛り上がっていることについては、「みんなが理解できないけど、世の中こう変わっていくということを信じて、やるしかないよ。で、成功率はめちゃくちゃ低い」と述べる。
伝統的な公共図書館の信奉者には信じてもらえないが、常識の外を行くのがオレ流というわけだ。それなら公共図書館の運営に手を出さなければよさそうなものだが、武雄市から誘いがかかったとき、公共図書館の常識を破るビジネスチャンスと勇みたったのだろう。改装前の3倍の来館者
CCCが運営する「ツタヤ図書館」の第1号は2013年4月に開館した佐賀県武雄市図書館である。スターバックスコーヒーなどを併設した東京・代官山の蔦屋書店を見た樋渡啓祐・武雄市長(当時)が「代官山蔦屋書店を図書館の形でもってきてほしい」と増田宗昭社長に要請したのが始まり。CCCが3億円、武雄市が4億5,000万円の計7億5,000万円かけて、武雄市図書館を改装。運営はCCCに委託された。
蔵書数20万冊。年中無休で朝9時から夜9時まで。蔦屋書店とスターバックスコーヒーが併設されており、コーヒーを飲みながら雑誌を読むことができる。テレビが大きく取り上げたことで、人口5万人の武雄市で図書館来館者が改装前の3倍、2年半で200万人を超えるという快挙となった。武雄図書館は、地方創生の画期的な手法と称賛された。ブーイングに一転した武雄市図書館
リニューアルオープンから2年経って、ツタヤ流に疑問の声が上がってきた。従来の図書館が採用する日本十分類法ではなく、書店のように料理、旅行、趣味などを重視するライフスタイル分類を導入。この分類では、いつも図書館を利用している人は本を探せない。しかも古い本ばかりで、新しい本がまったく入ってこない。
今年7月、住民の情報開示請求で、10年以上前の資格対策本や埼玉県のラーメン店ガイドなどを開館時に購入していたことが判明。それらの本をCCCが出資する古書店から買ったことから「ツタヤの在庫処分だ」と批判された。
さらに、図書館改革を積極的に進めた前武雄市長の樋渡氏が7月に、CCCの子会社である「ふるさとスマホ株式会社」の代表取締役に就任していて、天下りではないかと週刊誌で報道されたことで、ツタヤ図書館への批判が一気に炎上した。ツタヤ図書館建設計画は住民投票で否決
その最中の10月1日、CCCが指定管理者となって運営する2館目の公共図書館、神奈川県海老名市中央図書館がリニューアルオープンした。海老名市でも、タイの風俗店を紹介するガイド本などの選書が問題になった。
ツタヤ流のあまりの悪評に、愛知県小牧市では10月4日、新図書館建設計画が住民投票で否決され、CCCとのアドバイザリー契約が解消された。来年3月には宮城県多賀城市で新図書館が開設する。岡山県高梁市、山口県周南市でツタヤ図書館の計画が進むが、周南市でもツタヤ図書館反対の住民投票の動きがある。(つづく)
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